ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1
11月19日レイトショーでハリーポッターと死の秘法を観てきました。満員ではありませんでしたが、7割から8割は埋まっていたようです。レイトショーだと5人くらいのときもあるのにな、と人気の高さに感心しました。1割くらいは外国人でした。字幕なら蛇語以外は英語で喋っているので不自由しないのでしょう。
感想はとりあえず、「セブルスお前出番はそれだけかよ!」に尽きます。しかも前々作くらいまではいい感じに脂ぎっていたのがなんかこう、疲れたおっさんになっていて、そりゃあっちこっちで暗躍してたらその苦労も並大抵ではないでしょうけども、ツンデレオヤジを具現化するにはちとパワーが足りない感じです。おっと、暗躍だから表立ってなくて出番少ないのかなあ。ジレンマだ。暗躍は大歓迎だもの。
その他、ストーリーがどうとか言うのは置いといて、キャラクター重視で行きます。ストーリーに関係のありそうな感想なんか無いのでネタバレ配慮はしません。そもそも、こういった手合いの物語では、最終的には主人公が仲間と協力して悪役をやっつけヒロインと結ばれてメデタシメデタシとなるのが定石ですから、話の流れはとりあえずどうでも良いのです。悪の親玉が世界征服をして手下と楽しく殺戮を繰り返して暮らしましたとさ、になるわけがないのですから。半端にしか救われないタイプの話もありますけども。『指輪物語』は後味良くないところが好き。
しかしハリーポッターはお約束通りの物語展開です。『ダイの大冒険』みたいに諸悪の根源を打ち倒してもヒロインとくっつかないばかりか本人が行方不明なんてこともなく、けっこうタラシなハリーが、あんた結局誰とくっつくのよ、という点が結末として楽しめる点でしょう。あとは、こいつ死ぬこいつ死なない予想が当たるかどうかですね。
というわけで、主人公達の成長がどうとかいうあたりは、そういうのが好きなひとにお任せします。私は基本的には「セブルス・スネイプが活躍しているかどうか」に主眼をおいて本も映画も楽しんでおります。
あ、でも、第1作のハリーと今回のハリーを並べると、ブルワーカーの広告の使用前使用後みたいな感じでそういう肉体的な成長は一目瞭然です。成長したらどんな感じになるかなんてのは一種の博打で、例えばのっぽという設定のロナルド・ウィーズリーが、第1作ではそんなにでかくないじゃんと思えたのに対しどんどん背が伸びて設定通りになったのは、7年後を見据えたキャスティングとして素晴らしかったと思います。実際には10年経ってるけど。ん? あれ、シークレットブーツとかCGとかじゃないよね?
まずは、映画の前のたくさんの予告について。予告のみ3D上映ですとのことで眼鏡を手渡されたので使ってみました。日常で眼鏡を使用していると3D眼鏡は無理がある気がします。たまたま、字幕を読むのに眼鏡より視力が出るからという理由でコンタクトにしていったので問題ありませんでしたが、眼鏡だったら無理だったでしょう。とりあえず装着。画面が暗い。色彩の鮮やかな映画では残念なことになりそうです。
本編は2Dなので、眼鏡を外して楽しみました。案外予告が3Dなのは良いかもしれないと思えたのは「ここから3Dでは無いので眼鏡を外してください」と画面に出ること。つまり、普段は長々と予告や宣伝を見させられていい加減うんざりした頃にやっと本編が始まるわけですが、ここから本編ここまで予告ときちんと明確に示されているので、よーしこっからこっから! と気分良く本編に臨めるのです。こりゃ良いや。
今回もハリーはあんなに邪険にしていた屋敷しもべ妖精をコキ使って、困ったもんです。お前なあ、と呆れてしまう。ルーナに対する態度もそうだけど、ちょっと受け付けないなという相手に対する態度がハリーは悪い。実際現実での人間関係もそんなもんだしそれで疎遠になっておしまいですけれど、そこで離れていかずにずっと気にかけてくれているドビーやルーナの扱いはいただけない。ルーナは積極的に協力したりはしないけれど、良き理解者でありきちんと闇の勢力に対抗している人材なのに、大事にしないのは何故なんだろう。こういうところがハリーとは友達になりたくないなと感じるところです。
あとはね、ルシウスがちょっとダメ。初登場はほんとカッコ良かったんですが、4作目くらいで常務派と専務派の対決で上司に取り入ることに一生懸命な中間管理職っぽくなったのが情けなさを追加し、今回の、ヤバイ派閥についちゃったかもでも今さら引けないしいやいやここでいいとこ見せればもっと出世できるんだ……! みたいな態度でその情けなさを激増させてしまい、単なるヘタレになっちゃってます。畜生こうなりゃやぶれかぶれだぜ! という覚悟をまるで感じない。そのヘタレっぷりは、んもうだめ変換(んもう駄目ジェネレータ)を脳内でやるとよりいっそう楽しめるでしょう。誇りに思っていた自慢の父が右往左往する姿に、動揺を隠せないドラコも愛らしい。ほとんど台詞が無いのに、どうしよう俺! 感がちゃんと出ていて見事です。ドラコのほうがルシウスよりずっと肝が据わっています。
死喰い人陣営では、相変わらずイッちゃってる感じのベラトリックスと、相変わらずPTAのおばちゃんみたいなアンブリッジがたいへん良い味を出しています。実際のお役所のしょーもない部分を前面に押し出した魔法省は、そういう皮肉を表現することを目的として設定されている組織なのでしょうか。
騎士団陣営で特筆すべきはファスナー。いまどき……! いや実に面白かったです。ほんとにやるひといるんだね、ファスナー。
そんな感じで、 PART2を楽しみにしています。