たまに困る

 困ったことに、『乱鴉の島』は中断したら、まだ誰も死んでない(誰か死ぬのを前提に考えているのは良くないだろうか)のに、誰が死んでどんな感じで発見されて、というのを妄想しまくり、謎解き以前の時点からの予想が当たったらそれもう読む意味無いじゃんと思って慌てて読みました。
 孤島ものなんだから電話線は切られて衛星携帯も紛失だろうとか、アリバイがどうとかのためには死亡推定時刻が大事だから医者は死なないだろうとか、ここまで烏を強調しているのだからひとりくらいは死体をつつかれちゃうひとがいるだろうとか、誰か行方不明になって実はそいつが最初に死んでいるのだけど容疑者扱いされるんだろうとか、ありがちな感じでですよ。でもそこを想定すると、誰が死ぬか、どんな発見のされ方なのか、予想がついてしまう。それはつまらない。せめて事件が起こってからじゃないと。
 あんまり妄想すると、作者が鮮やかには裏切ってくれなくなるのが、謎解きは楽しいのだけどミステリを読むときの悩ましさというかもどかしさです。「読者への挑戦」が好きなひとはトリック分かったら喜ぶのだろうけれど、私は私でも分かっちゃうような仕掛けはやめてーと思います。自分の妄想ではとても及ばない、非日常や世界観を味わいたくて本を読んでいるのだから。
『乱鴉の島』は、こういう事件が起こって犯人は誰だか知らんがひとり殺した後もうひとり殺す羽目になって二人めを殺す、というストーリーを中断の間にいくつか妄想したところ、事件の内容(誰がどこで死んでいるか)はだいたい予想通り、犯人は外れましたが犯人の行動はだいたい予想どおり、動機はそんなん知るか! という感じでした。

 それより今日は、子どもの入学式だった、と友人が写真を送りつけてきて、こういうのコメント困るよなー正直迷惑だよなーでも彼はそんなこと分かんないんだろうなー生まれたよメールのときに「いちいち報告はいらん」と言っておかなかったからいまだに送ってくるんだろうなーもう文句つけられないよなーあと何年耐えれば良いんだろう……とうんざりしたことのほうが心にダメージがありました。
 その友人のことは好きだし、彼の奥さんも好きだし、娘ふたりも素直で良い子で可愛いし、会えば一緒に遊ぶしトイレも連れて行くし悪さをすれば叱るし、車酔いで私の膝に吐いても「あーあ」でおしまいですが、でも別に成長記録は要らない。私の手元にあってもねえ。
 世の中便利になってすぐに写真をデータで送れるようになったのがいけない。家族写真の年賀状ですら苦々しく思っているのに。あー、困る。ほんと困る。

2009.04.06 Monday 23:19 | - | comments (0) | trackbacks (0)

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