PEN No.259「相撲は美しい」

 雑誌「PEN」No.259の特集「相撲は美しい」の感想を少々。
 表紙は伊藤達也氏による錦絵「千代の富士貢 横綱土俵入」です。「相撲は美しい」というタイトルに見合った内容の記事として、相撲錦絵に関して16ページが割かれています。ほとんど写真集状態。「大関4人衆 北天佑 朝潮 若島津 琴風」は懐かしい顔ぶれです。「貴ノ花と曙 にらみ合いの図」は、曙のウェーブした髪がとてもきれいに表現されています。谷風とか雷電も良いですが、やはり見知った力士の錦絵は楽しいです。古い錦絵は相撲博物館で見たことあるやつばっかりしか載ってないし。
 見慣れていないと不思議なことだらけの相撲ワールドとあるとおり、見慣れた私にはどこにも不思議が無い紙面でした。基礎知識とか、ほんとに普通のことしか載ってません。記事の書き方も、「ご存知だろうか」という出だしで、なんかこう、馬鹿にされた感じがするんですが。知ってるよ! 普通だよ! と思いながら読みました。土俵が毎場所作り直しなのも、熱心なファンじゃなくたって知ってるよ……だって大阪体育館なんてどうするのさ。
 ただ、白鵬、琴欧洲、稀勢の里、安美錦に関する記事は、知っていることばかりでも楽しめました。やっぱ写真でしょ。写真集ではないはずなのに、力士の表情や体ばかりを見てしまいます。玉ノ井部屋の稽古密着は、私の好きな富士東が写っていたりしないだろうかとものすごく真剣に見ました。
 また、力士の写真は公式サイト等でも見られるけれど、行事や呼び出しに焦点を当てているのは少ないので、こちらも興味深く見ました。立行司の木村庄之助、立呼出秀男は、私も結びの一番で横綱と同じくらい楽しみにしている存在ですから、呼び出している姿なんか声が聞こえてくるようです。相撲をとる以外は何から何まで呼出と行事がやっているんじゃないかと思うくらいなのに、スポットライトは当たらない彼らの仕事内容等を再確認できたのは良かったです。
 あ、伊勢ノ海部屋の床山、床一さんが土佐ノ海の髷を結っていて、ああ土佐ノ海……と切なくなりました。髷を結っているところが見られるのは優勝インタビュー前の横綱くらいしか無いので、道具とか手元とか参考(何の)になります。
 ちゃんこ屋紹介は、今度彼氏と行こうと企んでいた佐渡ヶ嶽部屋出身の琴黒潮のお店「ちゃんこ 黒潮」が載っていたのでよしよし! という気分です。他にも佐渡ヶ嶽部屋出身元力士のお店が載っていましたが、皆さん柔和な感じでさすが佐渡ヶ嶽部屋だと思いました。あの部屋は優しい顔つきでないと入門できないのではないだろうか。ほんとに。
 決まり手は文字で説明されると難しい。国技館土産や鰺ヶ沢相撲館の決まり手を絵で表したポスターみたいなやつのほうが親切です。でも、上手投げと上手出し投げの違いなんかは絵で見ても分からないので、文章で書かれたほうが良いのかもしれません。せっかく82の決まり手をすべて載せているのだから、禁じ手というか反則として、両耳を両手で張るとかまわしが外れたら負け(これに付随して「まわし待った」の解説も必要か)とか指を1本または2本を折り返すとか、そこらも載せても良かったと思います。最近では阿覧が髷をつかんで二場所連続で反則負けしている、なんて一言があっても良いし。
 そういえば水入りについての言及が無かった気がする。これは略しすぎのような。でも隠岐諸島の相撲文化に関する記事は面白かったです。隠岐空港開港記念古典相撲大会ってすごい。そうそう、私の注目している十両、隠岐の海の紹介があったのは満足。隠岐諸島の記事は、隠岐の海が十両に昇進したときにどこかで見た隠岐諸島の紹介より詳しかったので、かなり真剣に読みました。
 全体的には、初歩といえば初歩だが全体を網羅している特集と言えるでしょう。決まり手リストはとても参考になります。欲を言えば、もう少しデータベース的な内容と、相撲史に関してもっと突っ込んだ記事があったら良かったです。
 とりあえず保存版。半ば写真集だけど良いの!

 写真集といえば、こちらは写真集なんだけどただの写真集にしておいてはもったいないのがケン・リブレクト『雪の結晶』 です。帯にも「写真図鑑」とありました。
 タイトルどおり、雪の結晶の写真が、結晶の出来る過程や形状別の解説とともにこれでもかと載っています。観察の仕方だけではなく、撮影の仕方まで紹介されていて面白い。照明の違いによる色の違いとか、語りたくてしょうがない感じで述べてあります。何故扇形になるのか、星型になるのか、詳しく述べてあって普通に科学の本として楽しめます。
 撮影は無理でも観察なら、ホームセンターで売っているようなルーペが意外に使えるとのことなので、いっちょやってみっかという気になります。彼の、いかにも楽しんでいるという雰囲気が伝染してしまう。このあたりは著者の言う「スノーウォッチングのガイド本」という目的を達しているでしょう。問題は神奈川県央部はほとんど雪が降らないことです。探し続けろと言われてもなあ。
 著者のサイトSnowCrystals.comでは雪の結晶の壁紙が無料でダウンロード出来ます。2002年に日本を訪れたときのレポートがあったりして面白い。

2009.12.21 Monday 21:07| comments (0) | trackbacks (0) |