祖父との生活

 半分同居状態の祖父が、どうやら自分が家主であると勘違いをしているらしく、勝手に柱に画鋲を打ったりして父が頭を抱えています。さすがに舅には気を遣うようで「俺の家だ!」とは怒鳴らない。そして、娘である私の母をこき使い、孫娘二人に口うるさく、私の弟にはほとんど何も言わない。なるほどこれが「昔の人」か。
 私と妹には、毎日のように「早く結婚しろ」「夜は出かけるな」「家事をしろ」とうるさいのですが、弟が昼まで寝ていても夜飲んだくれて帰って来ても何も言いません。私としては、大学を卒業し正社員として勤め当たり前ですが親に生活費を渡している私のほうが、ここ数年就職もせずバイトもせず家事もせず稼ぎが無いからことあるごとに親に無心するいわゆるゴクツブシ状態の弟より評価されてしかるべきだと思うのですが、祖父はそうは思わないようです。真面目な社会人より、「男だから」という理由で親の手伝いもしない無職のほうが優遇される。あ、もしかしてこれ、政府の方針そのものですか? ニート支援。
 妹も、いまどき「20時には帰宅しろ」と言われて絶句してました。夜は物騒だという心配だとも思いますが、近頃の凶悪犯罪は白昼堂々も多いから、昼間なら安心とも言えないだろうに。そして仕事が13時から22時か23時までというのも、祖父の感覚ではまともじゃないらしい。昼まで自宅にいる妹は、自然、祖父と接する機会が多いのでイライラしまくりです。この点、朝6時にはもう電車に乗っていて、仕事帰りにジムに寄るため22時くらいに帰宅する私は祖父と顔を合わせない日も多いので、そんなに追い詰められた感はないです。そうかこれが嫁姑問題をわが身の問題と捉えられない仕事人間の夫のセンスか。ふむふむ。
 結婚しろ、と言うのも、「年を取ってから一人は惨めだろう、大叔母さんみたいに結婚しないで80過ぎても一人でいるのなんて」と得意そうに言うので驚きました。いまだに女は生活のために結婚するんだと思っている。結婚したほうが不経済じゃん。それに、実の娘や孫にやや疎まれながら同居しているのも、けっこう惨めだと思うんだけど。違うのかな。同居したくてしているわけじゃなくて、低血糖で倒れることがあって目が離せないから仕方なく我が家で見張っているだけなのに。いや、祖父のことは嫌いじゃないですよ。食事とか洗濯とか一緒でも全然問題無いです。
 古い考えしか持っていない祖父と、価値観が合わないのはしょうがないし、祖父の価値観が昔は普通だったことも分かります。それはもう、教科書に載ってる歴史的事実みたいなレベルで理解しています。1600年関が原だよね、くらいの。だから他人(祖父は家族だと思っているようですが残り5人の意見は違う)の家で家長のように振舞う態度も、母や孫に対する態度も、理解は出来るのですが、自分の価値観を押し付けようとするところが理解出来ない、いや、これも理解は出来るな。理解は出来る。ただ、共感は出来ない。

 とまあ私は完全に今のところ他人事モードでして、ちょいと面白く観察しているのですが、これがまた両親の癇に障るようです。しかし、幼い頃から両親の小言も申し訳ないことにそよ風のように受け流して来た私ですので、祖父の時代遅れの説教など光化学スモッグ注意報よりも注意を喚起されず、意識に上りません。
 やっぱり顔を合わせる時間が少ないから無視していられるのでしょうか。とりあえず、職場の玄関入ってすぐにでかい花瓶があることに、入社3年気付かなかったほど興味無いことには無関心でいられる性分を、両親に感謝しておきます。

2009.04.18 Saturday 22:17| comments (0) | trackbacks (0) |