ブルーフィルム

　大邱(テグ)と慶州(キョンジュ)へ行ってきました。慶州は世界遺産でして、私と彼氏にとっては屋久島に続く世界遺産の旅です。彼は白神山地にも行ってみたいと最近言い出してます。以前青森へ行ったときはまったく興味を示していなかったくせに。
　旅行はなかなか楽しかったです。出かける前日まで試験で……って前回(20世紀の出来事だが)海外旅行をしたときもそんなだった記憶が……あのときは基礎化学工業だったかな？　科目名までもう忘れているなんてその昔大学でたいして勉強していなかった証のような気がしてきます。試験対策に夢中で韓国語もまったく予習無しでした。妹が韓国ドラマの観過ぎで、愛してるとか寂しいとかおよそ観光では使わなさそうな言葉を覚えているので、それを教えてくれたけど。
　どうでもいい話ですが、今回はパスポートの同じページに、日本からの出国、韓国の入国、韓国からの出国、日本への帰国、この四つのハンコが押されていて驚きました。そして普通はそうらしいことがわかって二度ビックリです。なんでベルギーへの入国とそこからイギリスへのハンコは別のページに押されているんだろう。しかも4ページくらい離れたところに。
　それはさておき、韓国在住の友人が案内してくれるという話だったので、それにも甘えていて暢気な気分で出かけました。何かあっても彼女がなんとかしてくれるでしょって。気にしていればいいのは、日本から同行する友人の子どもたちがどこかに行っちゃったりしないかと、私の彼氏がふらふらっとどこかへ行っちゃったりしないかくらいだと思ってました。
　実は初対面の友人と釜山空港で無事合流して(同行した友人がいなかったら私はどうするつもりだったのだろう？)、その晩は友人の知人のお店でお刺身をいただきました。コチュジャンなのかね、あれ、辛いやつ、粘性のある真っ赤な液体、と表現すると美味しく無さそうですが、お醤油の代わりに(醤油もあったが)刺身につけて食べるのね。美味かったですよ。気に入らないとさり気なく全然食べない彼も普通に食べていました。キムチもそんな困るほどは辛くなくて、安心しました。
　泊まったのは友人の家の近くのホテルです。ツインの部屋の、何故かベッドがシングルとセミダブルで、大きさが違うのがおかしかったです。夜中になると上の階か1階かわかりませんが、とにかく大音量と振動が伝わってきて、誰かが陽気に過ごしているのでしょう、毎晩大騒ぎでした。寝るのに困るというほどではないですが、彼がどこから聞こえてくるのか興味を持ってしまい、あちこちのぞきに行きました。でも不明。気になるなあ。
　翌日は慶州へ行きました。現在も普通に住居として使っている、李氏朝鮮王朝時代の古い家屋を見学しました。両班(ヤンバン)の家とか見ましたよ。チャングム的表現だとチョンホさまのお宅ですね。そんで庶民の家はトックおじさんの家みたいな感じです。そのあとは、古墳がたくさんあるところへ行きました。天馬塚という古墳の中が博物館のように公開されていて、出土品が展示されていました。日本語のガイドさんが詳しい説明をしてくださいました。その後、仏国寺という韓国で一番大きなお寺に行きました。ここ、世界遺産ね。ここも日本語の出来るガイドさんがいて、細かい説明を聞きました。とても広くて多くの建物があり、その中に仏像があるのですが、思わずいちいち手を合わせてしまいます。現地の人みたいに、膝をついたりはしないけど。それと国立博物館へ行きました。夕方行ったので、閉館まで一時間くらいでちゃんと見られるのかなと思いましたが、言葉が分からないから早い。しかもものすごく広いんだけど、展示物はそう多くも無くて天馬塚で見たものも多かったので。でも英語で解説があるやつはそれなりに真剣に読みました。日本語みたいに真剣に読まなくても理解できれば疲れなくて済むのですが。夜は疲れてしまって、友人が手配してくれた冷麺の出前をホテルの部屋でいただきました。こういうのもツアーと違って面白いね。しばらく経ってから食べたのでのび気味(笑)でしたが、スイカとか梨とか入っていて驚きつつも美味しく食べました。どちらかというと量をあまり食べない、というか食事そのものを疎かにしがちな我々には、韓国での食事はどれもこれも量が多くて、うなってました。美味しいからつい食べちゃう。
　その次の日は大邱観光でした。朝鮮戦争のとき、北朝鮮の兵士があまりの美しさに攻撃したくなくなるという山並みを見ました。大邱まで攻め込まれていたのか！　ととても驚きました。ところで、景色が美しくて戦争を思い止まるという話は、他にもありますよね。具体的な例はちょっと思いつかないのですが……B29から見た景色はあんまり綺麗じゃなかったのでしょうか、もしかして。午後は市場と、スーパーマーケットでお買い物でした。ロンドンでスーパーに行ったときも思いましたが、異国でごく普通の生活の様子を見かけるとホッとしますね。昆布とか海苔とか買ってみました。アラビア数字って素晴らしいね。数字に関しては、言語をわけた超越者の行為も無駄になっているのかもしれません。
　言葉は全然分からず、ブリュッセルと同じで看板を見てもなんの店かすら分からない状況でしたが、友人が世話を焼いてくれたので何もかも安心でした。友人の知人たちもみなさん親切で盛大に歓待してくださってとても楽しく過ごせました。感謝感謝ですよ。あ、ホテルと空港では開き直ってさも当然そうな態度で英語でした。結局、안녕하세요(あにょはせよー)と예(いぇー)くらいしか韓国語は使っておりません。次回があればもう少しなんとかしたいところです。
　韓国旅行はそんな感じです。ドコモのうさこ携帯とソフトバンクはそのまま手続き無しで使えたとか、1時間40分のフライトなのに機内食が出たとか、どうでもいい驚きは他にもたくさんありましたけど。彼が、友人の子どもにまとわりつかれて、普段あまり表情の動かない男なのですが、参っていたり楽しそうだったりしたのが面白かったです。

　今回は、何故か私のデジカメのご機嫌が悪く、カードに記録が出来ないと拗ねてしまっていたので、私が自分のカメラで撮った写真は一枚もありません。彼のデジカメで多少撮りましたが、使い勝手が違うので嫌になってしまいました。10月の北海道旅行のために真面目に新しいデジカメの購入を検討しないとなりません。ええ、10月は北海道です。小樽へ行く予定です。これは、会社の福利厚生で航空券と宿泊費は全部会社もちでして、両親と三人で行ってくる予定です。妙齢の女子社員が両親とこの福利厚生を利用した後はたいてい結婚しているらしく(周囲の動向を気にしない私はこの事実に気づいてなかった)、いろんなひとに「結婚するの？」と訊かれました。20年前は興味あったけどねーブームは去ったねーと正直に答えておきました。