カフェ ラントマン、そして表参道
昨日は第1次大学生時代に知り合った射撃仲間と忘年会でした。青山のAo<アオ>にあるカフェ ラントマンで昼食会です。事情は訊いていませんが(不幸だったりしたら悪いので)、去年ドタキャンした男がまたドタキャンしました。仕事ならしょうがない頑張れで終わりですが、病気とかだったら心配です。まあ、たぶん、仕事だろうな。彼は一昨年も食事中に仕事の電話が鳴りまくっていて大変でしたから。
ラントマンでは一度、友人の経済学者とティータイムを過ごしたとき(2009.06.26の記事「いたずらおばけ」)に食事もおいしそうだったので、機会をうかがっていたのです。今年の忘年会は私が幹事だったので、そのうち一緒に行こうねと言っていた経済学者のことは放り捨てて、他の男と行ってきました。男三人と女一人は普通のグループ客っぽくて良いと思う。ドタキャンがいなくて男四人だと、バランス悪すぎるのだけど。
一番奥に案内され、メニューを見て絶句した。何故なら私は「平日ランチメニュー」のつもりのお財布で来たから。何故! 平日だろ! 木曜は! 開店していますかって電話で訊いたとき「通常営業です」って言ってたのに。でも同行者はまったく気にしていなかったようなので、私も涼しい顔して「週末ランチメニュー」から選びました。年末は通常営業たってそりゃ休日モードだよと言われれば、まあそうかなと思うし。
ラントマンは、オーストリア料理なのですが、正直オーストリア料理なんて全然知りません。ザッハトルテは前回食べちゃいましたし、アルコールの含まれたコーヒーもそんなに魅力に感じませんでした。けど、スープ料理には興味を持ったので、私はスープセットにしました。
友人たちはそこそこ予習してあったらしく、というか一人はオーストリアに行ったことがあって現地でザッハトルテを食べて死ぬほど甘くて閉口したらしいし、村治佳織ファンの男は毎年ヨーロッパ旅行しているし、肉をパプリカと一緒に煮た料理が有名、と口を揃えて言ってました。もう一人も「アルコール入りのコーヒーが有名」って言ってました。お店を予約しておいて、私だけが下調べをしていなかったようです。下見もどきはしていたのにな。
食事はとても美味しかったです。スープ料理は少し少なめかと思いましたけど、食べていたらちゃんとお腹いっぱいになりました。満足です。アルコールは無しにしましたけど、コーヒーも美味しかったです。デザートはアプフェルなんとか……つまりリンゴパイです。オーストリアの公用語はドイツ語で、ランチメニューにmittagってありました。第1次大学生時代の1年目のドイツ語の授業を必死に思い出してなんとか読んでいた私ともう一名。カタカナで意味が分からなくても、英語が併記されていればそれでなんとなく分かったりしますが、ドイツ語じゃますます分からん。
食後はAoの周辺を一回りしてから、表参道を歩きました。Aoは建築物として面白い構造をしているので、それだけでも見たら楽しめると思います。国連大学も見た目はカッコいいですし、表参道ヒルズも、あの辺りは少し凝った建築物が多いので勉強になりますね。ビル建築に関わっている身としては。表参道ヒルズは、図面で見るのと実際に歩くのと、けっこう違うものだなあと思いました。
以前、友人の経済学者とその先輩という別の経済学者と表参道を歩きました(2009.04.12の記事
「ああ勘違い」)けど、そのとき見た同潤会アパートとか様子が変わっていてそれも面白かったです。一番面白かったのは、足下の場所取りですけど。
たぶん、今日の朝から屋台が出ていたのでしょう。明治神宮参拝のために訪れる皆さんを相手にする商売のために。その、場所取りというか場所のお知らせというかのために、ガムテープで梱包用テープみたいなのが貼ってあり、ガムテープ部分に「ヤキソバ」とか「たこ焼き」とか書いてあるんですよ。坂道を延々、明治通までずっと。
これ一番面白かったですね。なかなか愉快な経験をして、原宿で解散しました。古い友人ってのは良い。
表参道の手前あたりで友人が実家への手みやげにする和菓子を探していて入ったお店、お菓子は小さいのにやたらお高くて庶民には手が出ませんでしたが、展示物が奇麗だったので紹介します。高林由美子氏の公式サイト「さしこギャラリー」を拝見すると、どうやら個展だったようです。和菓子屋は風土菓 桃林堂です。立ち寄ったのは青山店で2階が画廊になっているようです。
さしこは、私はよく分かりませんがどうも津軽こぎん刺しみたいな感じで、壁に飾られた、なんだろうあれ、タペストリーみたいなやつ、何の役に立つものなのか分からないですが迫力があって良かったです。刺繍とは違う感じで、もっとこう、分厚い感じ。手触りがゴツいの。ごめんなさい、手に取るなって注意書きを読む前に思い切りつかみました。
2011.01.01追記
今日の読売新聞のコボちゃん、コボちゃんのおじいさんが「年を取ると時間が過ぎるのが早く感じる」と言いながら蕎麦を頼んでからの5分が待てないというネタで楽しませていただきました。
これはですね、私の解釈だと、一年が早く感じるのだから、5分も同じくらい早まって感じるから不自然ではないのですよ。若いころの1年を1とすると、40代の1年8くらいの体感速度だとしましょう。そうすると、若者の5分は年寄には3分くらいで5分経ったような気がすると、だから年々せっかちになっていくと考えれば全然矛盾がありません。
おばあさんもそこでちゃんとおじいさんに説明してあげれば良いのにね。
この年を取ると時間が早い気がするというのを説明した絵本があって、タイトル忘れましたけれど、人生は螺旋状になっているという説明がありまして、それだと三角錐の一番底辺から螺旋状に表面を階段でずっと上がっていくようなイラストでした。一周が一年で、だからどんどん短く感じるのだという説明。
ああ、なるほどなと思いました。一応の説明はついています。時間の概念は難しいもので、相対性理論なんぞ持ち出さなくても相対的に感じるものです。楽しい時間はすぐで、苦しいと長いとか。お腹痛くてずっとうなっていると気がついたら4時間経っていてあとで思い出すと30分も経ってない気がしたとか、ありますけれども、たいていは楽しいほうが短く感じるかと思います。
それで思ったのが、そのイラストだと三角錐は上向きで、底辺が地面に着いていて天に向かって頂点があるように描かれていました。単に螺旋の説明をするのならば、底辺が平面に接しているのは同じでも、そこから大根みたいに埋まっている絵を描くことも出来るわけで、もうどんどん暗く冷たい地下にずっと下っていく、そういうイメージにもで出来るところを、上昇するイメージで描いたところが面白いなと私は感じました。
なんかちょっと期待が持てる感じで。そんで上からちょっと見下ろして過去を思い出したりするの。ただ、そういう三角錐がたくさん並んでいて、自分のは太くて短いとか誰かのは細くて長いとか、丸分かりっぽいのは怖い感じもしました。ほらあの、ろうそくが並んでいるイメージです。それでも1年の長さの感じ方の違いに説明をつけているところが非常に気に入った絵本です。突拍子も無い理論でも、その物語の中でしっかり統一感があって完結しているならそれはそれで理解出来るつもりです。
もっとも、私の考えだと、別に螺旋になっていなくても、5年の人生のうち1年が占める割合は2割で、30歳なら30分の1だから単純に比較して少なく感じるのではないかとそれだけの話になります。
そういうわけで、今年も無事螺旋階段から落ちずに済んだようです。来年もよろしくお願いします。