囲い込み一本
携帯電話の家族割引に惹かれて本当に家族全員で同じ携帯電話会社を利用しているとイザというとき死ぬしかないと思う。去年結婚した同僚が、それまでdocomoだったのを夫に合わせてsoftbankにしたんですよ。家族割引使えるしって。私はせっかくの通信手段をふたりで同じにしてしまうのは危険ではないかと持論を展開したのだけど理解を得られませんでした。
縄文杉の根元で、私の携帯は電波が入っていましたが私の彼氏の携帯は圏外でした。
そんな非日常を味わいに行く場所では通じないほうがむしろ良いのかもしれませんが、例えば遭難した場合、私のが通じれば彼のが通じなくても救助の要請は出来るでしょう。でもこれ、ふたりで同じ携帯電話会社を利用していたら、両方通じるか両方圏外かの二択になってしまいます。違うものを使っていれば、通じる通じないの組み合わせとしては4種類となり、両方通じない確率は4分の1と、ふたりで同じ場合の半分です。もちろん、カバー率の問題はあります。都市部が得意な会社、都市部の例えば地下鉄は弱いが山間部に強い会社、いろいろ特徴がありましょう。そこらへんも含めて、携帯電話は別会社を利用しているひとと行動をともにしたほうが、危機管理としては有効ではないか、というのが私の考えです。
家族間だと通話料無料。で、家族とどれだけ電話する? 単身赴任の夫が妻や子供と、ということは多いでしょう。都会の大学に通う子供が田舎の両親と、いや逆だな、親が子供にかけるほうが多そうだ、こういうのは無料だとたいへん助かるパターンだと思います。しかし、同居している場合、そんなに電話で話すようなことがあるでしょうか。我が家は無い。帰宅してから直接喋ればそれで済むもの。
もちろん、子供が小さい場合は塾だのなんだの送り迎えの連絡で頻繁に使うと思います。でもいい加減成人した子(戸籍とかに書かれている続柄としての子という意味なので、成人してたら「子」じゃないとか突っ込まないで)が、わざわざ何を親に連絡するかっつーとしないだろ。飲んでたら終電逃した帰れないとか、その程度じゃないの。帰宅が深夜になっても急な土砂降りでも荷物がやたら多くても、大人なんだからタクシー呼ぶなりどこかに泊まるなりするでしょ。そんであんまりにも夜中なら電話は控えてメールでしょ。夜中の電話は訃報っぽいもの。
そしてそんなことが毎日のようにあるはずもなく、特に通話料無料の恩恵にはあずからないと思う。近頃はEメール無料プランもあり、家族ともEメールを主体にしたやり取りをしていれば、友人知人とのやり取りの出費も家族とのやり取りの出費も抑えられます。だったら、電話番号やメールアドレスを変えるデメリットのほうが大きいんじゃないかと思うのです。
遭難するような事態こそめったに無いだろ、という考えはごもっともですが、別に遭難しなくても、花火会場でも年末年始でも、あるキャリアだけ通じにくいということはあるし、地下鉄だのなんだの、あるキャリアは通じるが他のキャリアは通じないということはあります。隣に家が建っただけで入りにくくなることもあるのです。そこらへん全体的に鑑みて、携帯電話の価値はなるべく広い範囲で通信が出来るという点にあるならば、夫婦で同じキャリアを利用するのは不利なのではないでしょうか。
もっともこれは、お互いに既に携帯電話を持っており、結婚する前から両親や兄弟姉妹と家族割引に入っているというのが前提の話です。家族割引になる一番大きなメリットは家族間通話料無料ではなく基本料金の割引ですから。しかも最近は家族でなくても複数年契約をすることで同じような割引は受けられますから、複数年契約が嫌でなければ家族割引を利用する必要がありません。
その上で、いったん家族割引をしていてそのまま継続なら基本料金も変わらず、同居する妻や夫よりも、同居しないであろうそれぞれの両親や兄弟姉妹と無料のほうが、私は全体的に通話料金を抑えられるだろうし、危機管理としても有効ではないかと考えているのであります。