村治佳織 リリース記念コンサート『ソレイユ』東京公演
本日は富士マラソンフェスタに前日入りしたりはせず、そもそも申し込んでない(妹の入院騒ぎですっかり忘れていた)し、村治佳織さんのコンサート「ソレイユ 〜ポートレイツ2〜」(恵比寿ザ・ガーデンホール 16時開演)に行ってきました。2010年9月22日に発売されたソレイユ~ポートレイツ2~(初回限定盤)(DVD付)のリリース記念コンサートです。この発売記念コンサートは、基本的にそのアルバムの収録曲をそのまんまの順番で全部演奏します。というわけで以下、本日のプログラムです。
Soleil 〜Portraits 2〜
第1部
- 1. ヒア・カムズ・ザ・サン
- ジョージ・ハリスン/イョラン・セルシル編曲
- 2. ギターのためのカルメン組曲
- ジョルジュ・ビゼー/佐藤弘和編曲
- 3. そよ風の誘惑
- ジョン・ファーラー/佐藤弘和編曲
- 4. フォーコ(リブラ・ソナチネより第3楽章)
- ローラン・ディアス
- 5. オルフェのサンバ
- ルイス・ボンファ/佐藤弘和編曲
- 6. サウンド・オブ・ミュージック
- オスカー・ハマースタイン二世&リチャード・ロジャース/ローリンド・アルメイダ編曲
- 7. アローン・アゲイン
- レイモンド・オサリヴァン/佐藤弘和編曲
- 8. 大聖堂 I Preludio (Saudade)
- アグスティン・バリオス
- 9. 大聖堂 II Andante religioso
- アグスティン・バリオス
- 10. 大聖堂 III Allegro Solemne
- アグスティン・バリオス
第2部
- 11. ケルン 1975年1月24日 パートIIC
- キース・ジャレット/マニュエル・バルエコ トランスクリプション
- 12. ムーゼス・ド・リオ
- ルイス・ボンファ/佐藤弘和編曲
- 13. エル・ディア・アンテス
- アンディ・ピアソンズ/佐藤弘和編曲
- 14. 前奏曲 第15番 変ニ長調«雨だれ»
- フレデリック・ショパン/佐藤弘和編曲
- 15. ザ・ウェイ・ウィー・ワー(追憶)
- アラン・バーグマン、マリリン・バーグマン&マーヴィン・ハムリッシュ/佐藤弘和編曲
ポートレイツより
- エナジー・フロー
- 坂本龍一/佐藤弘和編曲
- ティアーズ・イン・ヘブン
- エリック・クラプトン&ウィル・ジェニングス/佐藤弘和編曲
特別ゲストとして、フラメンコギターの沖仁氏がいらしてました。紹介に会場はどよめいていましたが、それはラジオを聴いていない証拠だそうです。同行した友人によると。彼が言うには、J-WAVEの「MITSUBISHI JISHO Classy Cafe」で事前にお知らせがあったのだそうです。ファンならラジオもちゃんと聴かねばいかんと友人が主張していました。きみも聴けと言われましたが、すまんそこまでファンじゃないので。
沖氏は1曲のみ、デュエットというかなんというか共演していました。ハミングありで。面白かったです。
そうそう、上記のプログラムは配られた内容であり、実際は村治さんが間違えたので、フォーコとオルフェのサンバが逆になりました。オルフェを弾き終わってから謝罪があり、フォーコの演奏がありました。
全体的には、音のつながりが悪い感じ。しょっぱなは緊張していたのか少しぎこちなく、その後は滑らかになりましたがなんとなく音が切れたり和音が奇麗に出ていなかったように思います。楽譜見ながら聴いてたわけじゃないので分かりませんけど。手がまだ動かなくなる前ほどには動いていないのかもしれません。つーか、アレンジがものすごくやり過ぎなんじゃねえかな。
メロディラインにかぶせるようなアレンジは良いっちゃ良いのですけど、低音が響かず細かい音の装飾が鬱陶しいくらいでした。カルメンもメドレーが村治さんいわく「いいとこどり」ですが、私はちょっと中途半端に感じました。こういうのはあんまり好きじゃない。すごく普通な感じだったのは大聖堂だけです。第3楽章が聴き応えありました。
せっかく聴きに行ったのに、耳障りな感じがしてしまうのは残念でした。椅子は背中痛いし。
恵比寿ザ・ガーデンホールは、きちんとした席が常設ではなく、前のほうは椅子を並べて客席にしてあります。後ろのほうはそれなりの椅子が常設ですが、前のほうのいわゆる「良い席」であるはずの場所がパイプ椅子よりはマシだけどってレベルなのです。この椅子が、背もたれが木でして、前半だけで背中が痛くなり参りました。こじんまりしているけどみなとみらいホールのほうがよっぽど快適です。国際フォーラムほどの椅子でなくても良いから木の背もたれは勘弁願いたい。空調は問題ありませんでした。ロビーはちょっと暑かったけれど、トイレが寒いことも無くて良かったです。
ジャズはなんとなくノリが悪いような。2006年にナベサダを聴いて以来、ジャズの基準が上がってしまったようです。それまではレコードで聴いたベニーグッドマンだったので、ライブの基準が無かったのですけども。クラシックギターだから雰囲気だけと割り切らねばならないのでしょう。
これで6800円かぁ、とは思いましたが、それなりに楽しみました。
おっと、アンコールの記述を忘れていました。アンコールは2曲、1曲目は沖氏とデュエットの「タンゴアンスカイ」、沖氏が途中で即興を入れていて、私的には本日一番面白かった演奏です。2曲目は村治さんのみ「戦場のメリークリスマス」でした。
これもやたらめったら凝った感じのアレンジで、元の曲をイメージしながら聴いてしまうとなんつーか、崩し過ぎに感じられます。同一人物だって分かるけどほとんど別人じゃんっていうファンデーションのCMみたいな。仲間内で、こんな編曲してみたと披露しあうならああいうのも興味深くいろいろ聴けるでしょうけれど、元の曲をちゃんと知っていて、それがあんまりあれこれ手を加えられていると、調味料を入れ過ぎてしかも煮込み過ぎた白菜スープのような、たくさん味付けしてくれて悪いんだけど私薄味が好きなのよねという気持ちになります。般若心経をラップにするような編曲だと私は感じました。
コンサートの前に、恵比寿三越1Fのハーブスでケーキをお茶をいただきました。本日は同行した友人の誕生日でしたので、ケーキとお茶は私のおごりです。本気でプレゼントをする気があるならコンサートの支払いが私になるわけですが、彼にはきみの誕生日には何もしていないし自分が聴きたいから申し込んだコンサートだからと遠慮されました。
ここのケーキはサイズが大きいので、紅茶と一緒にいただくとお腹いっぱいになります。それなのに店内が乾燥していたのでお水を飲みまくり、余計にお腹いっぱいになってしまいました。そこんとこなんとかなりませんかね。
ケーキはカット面から劣化するので注文されてからカットするとのことで少し待たされますが紅茶が飲み頃になったときに同時に運ばれてくるのであまり気になりません。カップもちゃんと温まっています。すぐに飲めるということを一言添えてくれるともっと良かったですね。
それ以外は快適でした。店員さんの応対も非常に良く、楽しく過ごせました。禁煙だし。
どーでも良い話、沖氏はぼんやり見ていると御手洗潔に見えてきます。いや彼は二次元の人物でしかも小説ですから、外見を見て「見えてくる」というのも変なのですが、見えてきます。ええ、見えてきます。
御手洗氏のギターに関しては『御手洗潔攻略本』「マクラフリンはお好きなんですか?」 -ギタリスト御手洗潔のジャズ史的位置でいろいろと解説されております。その前に『御手洗潔のメロディ』 (講談社文庫)の「SIVAD SELIM」を、そりゃねーよ! とツッコミを入れながら読まないと駄目です。
また話が逸れるのですけど、私の島田荘司作品に対する愛情は、相撲に対する愛情と似ている気がします。つまり、お前ら何考えてんだいい加減にしろよ無理あり過ぎだろと協会にどんだけ腹を立てても、年に一度は国技館へ行ってしまう、と。そういう感じ。