つかの間の引きこもり

 気づいたらもう夏休みは3日目でした。金曜の午後からだったと考えると4日目です。何してたっけ? 思い出そう。
 8/6(金)半ドンで終業、東京ドームでカープを応援。外野で立ち見という無駄な気合いの入りよう。マエケンのピッチングと梵の守備にしびれてた。一人でカープ坊やのハンドパペットと無言で遊んでいる彼氏を放って(そのハンドパペットをずっと見つめていた少年がいて、それに気づいているのに彼は遊んでやらなかった)、同行した同僚と点が入るたびに抱き合って喜んだりしてた。そんで、彼氏はずいぶん痩せたけど、同僚と比べるとまだまだぽちゃぽちゃだと言うことがよく分かった。
 8/7(土)昼寝をすると布団を干せないのはジレンマだなあとか思いながらだらだら過ごした。祖父が昼過ぎからずっと高校野球を観ていたが、16時くらいから読売-広島戦にチャンネル変更された。放送終了後ジムへ行ってちょっと運動。疲れたからわりとすぐ寝た。
 8/8(日)前日の夜からずっと頭痛で夕方までひたすら寝ていた。新聞を読んだ記憶はあるが、それだけ。
 8/9(月)平日なので自然と5時に目が覚めた。まだなんとなく頭痛がするのでちょっと食事してまた寝た。雨が降っているので少し窓を開けておくとかなり涼しい。10時ごろ思い立って美容院に電話したら、いつもの彼が14時に空いているというので予約してまた寝た。13時半ごろ起きて、ジーンズのポケットに自宅の鍵と万札をそのまま突っ込んで美容院へ。支払いのとき馴染みの美容師に呆れられた。ジムは定休日なのでまた寝た。今に至る。
 なんだ、予定通りじゃん。昼寝メインで。安心しました。

 しばらく前に、予備軍”155万人の衝撃! 「趣味のときだけ外出する」新たな引きこもりが急増中という記事があって、それは内閣府「若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」よると、日本の「引きこもり」群は、推計で70万人。その「潜在」群は、推計で155万人に上るという内容です。でね、私はおおいに面白かったわけです。

推計70万人の「引きこもり」群は、統合失調症などの病気ではなく、家事や育児をしているわけでもなく、6か月以上にわたって「趣味の用事のときだけ外出する」「近所のコンビニなどには出かける」「自室からは出るが、家からは出られない」「自室からはほとんど出ない」状態のいずれかの人たちと定義づけている。
 なかでも、「趣味のときだけ外出する」状態の人たちが推計46万人に上り、日本の「引きこもり」の中枢を占めたことに、高塚教授は「準引きこもり」群として注目する。
「趣味なら出かけられる人たちも、基本的に、働いていないし、勉強もしていない。家族以外との交流も避けていて、6ヵ月以上経っているとなれば、少し健康度の高い引きこもりなのではないか」

http://diamond.jp/articles/-/8897

 記事の中から引用した部分に笑っちゃう。私なんか、統合失調症などの病気でもなく、家事や育児もしていなくて、6ヶ月どころかここ20年、人生の半分以上で「趣味の用事のときだけ外出する」状態なのに「働いている」だけで「引きこもり」扱いされないことになるのです。たぶん今後もそうでしょう。趣味なら出かけられる人たちも、基本的に、働いていないし、勉強もしていない。家族以外との交流も避けていて、6ヵ月以上経っているとなれば、少し健康度の高い引きこもりなのではないかですって。大事なことなので2回引用しました。働くか勉強かしていれば、家族以外と交流を避けていても良いみたいですよ。朗報ですね。雰囲気的には、家庭内別居でもOKもらえそうです。
 夏休みになってからの私、自宅にいるのだから母を手伝って掃除や洗濯をしてもいいはずなのに、掃除や洗濯どころか自宅に誰もいなければ食事すら面倒がってさぼる始末。引きこもりでもきちんと食べているひとのほうがマシなんじゃないかと思うくらいです。そんで、外出したのはカープとジムと美容院。
 カープを趣味とは言い切れませんが、まあ個人的な楽しみだわな。彼氏は家族じゃないけど10年来の友人だし、同僚は熱狂的カープファン。オタクってのはオタク同士の付き合いが無ければやっていけない都合上、仲間内に限っては社会性は高いものです。仲間以外は排除ですけど。ジムも美容院も7年くらい通っていて、スタッフには「あのお客さんは話しかけられるのを嫌う」としっかり認識されているから余計な会話はしなくて済みます。信頼する美容師、信頼するトレーナーさん、似たようなトレーニングをやっている顔なじみのお客さん数人、私が喋るのはそれくらいで、やっぱり趣味の仲間内だけなのです。
 私と「引きこもり」とか「準引きこもり」とかされた人々と何が違うんだろう。職の有無ですか? だったらそれは金持ちかそうでないかということでしょうか。渋々だろうと、生活出来ないからしょうがなくだろうと、一度就職したらクビになるまでは惰性でだろうと、働いてさえいればそれは「引きこもり」ではないと?
 長期休みになれば、勤続10年めの私だって、家事もしないし勉強もしないし家族以外との交流も無く趣味でしか出かけない。こうやってパソコンに向かってみたりもするけれど、こんなのはいわゆる「引きこもり」だってやっていることです。趣味の用事以外で外出する理由が考えつきません。

「家や自室に閉じこもっていて外に出ない人たちの気持ちがわかる」「自分も、家や自室に閉じこもりたいと思うことがある」「嫌な出来事があると、外に出たくなくなる」「理由があるなら、家や自室に閉じこもるのも仕方ないと思う」の4項目すべてに「はい」、または1項目のみ「どちらかといえばはい」と答えた人から「引きこもり群」を除いて推計したところ、155万人に上った。
 高塚教授は、この一般群と引きこもり群の中間にいるケースを「親和群」と名付けているが、わかりやすくいえば“潜在群”だ。

 記事では、引きこもりではないが微妙なラインのひとのことを上記のように解説しています。でも、「嫌な出来事があると、外に出たくなくなる」と思わないひとが果たしているのでしょうか? 運動会が嫌だと泣きわめく子どもと違って、大人はそれを口にしないだけで、嫌な担当者がいる取引先に行きたくないから会社を休みたい、くらいは誰だって思うのではないでしょうか。
 質問とそれに対する分析がものすごくおかしい。引きこもりではないが「自分の生活のことで人から干渉されたくない」かどうかを聞くと、「引きこもり」潜在群の人が最も多く、9割を占めた。なんて、馬鹿じゃねえかと思います。自分の生活のことで人から干渉されたくないにNOのひとばかりだったら、嫁姑問題はほとんど解決ではないでしょうか。未婚だから分かりませんけど、「姑が子育てに口を出してくる」「嫁が言うことを聞かない」とかは自分の生活のことで人から干渉されてもOKならなんの問題も起こりません。
 さらに謎なのは、すべからくディベートをもなしうる人間にならなければならないかのような雰囲気が生まれている。つまり、人間関係をうまく構築したり、きちんと言葉で意思表示できなかったりすることは、欠陥商品として放逐されかねない社会環境が進行しているというくだり。すべからくディベートどころか、まともな議論をしないでなんとなくやり過ごす能力のほうが求められているように私は感じています。自分の考えを、きっぱりはっきり論理的に簡潔に述べたほうが、輪郭をぼやかして発言したときより評価が低いの。そんなのお前の会社や近所だけだと言われたら、他にサンプルが無いので反論出来ませんが、以前twitterで見かけたこの発言授業でしたい類の質問=不明確なものを明確にする質問って、日常でやると「揚げ足取り」と言われる。RT @kimkeio 質問というのは質問するという意思を「事前に」持たないと簡単に出来るようなものではない。授業前に必ず質問する意思を持つことで、主体的に授業を楽しむことが出来る。http://twitter.com/Kelangdbn/status/17377567921を見る限り、この発言者の日常、つまり職場や家庭では議論は歓迎されていないように受け取れます。かわいそうに。いや私も同じ境遇ですがね。
 すべからくディベートってどこから出てくるのかさっぱりぽんです。この記事を書いたひとや、解説の学者と私の認識は違い過ぎます。

 私の考えでは、極論すると人間は全員「引きこもり」予備軍で、それを実行する行動力のあるひとのなかでお金持ちが「引きこもり」、金がないと「ホームレス」、そうすることで世間から離れてしまうと困るとか嫌だとか情けないとか恥ずかしいとかグズグズしているのが「社会人」です。ベンチャー企業の社長だって、売れっ子アイドルだって、今が旬のスポーツ選手だって、殻に閉じこもりたいときはあると思う。あとは実行力の問題でしょう。
「普通」とされているひとたちは、ヤダヤダ……と思いながら仕方なく目の前の出来事からひとつひとつ潰しているに過ぎず、「一抜けた!」面々が「引きこもり」であり「ホームレス」なのではないでしょうか。仕事も勉強もしないで趣味に没頭出来て衣食住がなんとかなる「引きこもり」は理想郷だもの。それが維持出来ないと「ホームレス」なんだな。昔は嫌なことがあると「家に帰らない」だったけどそれが今は「家から出ない」になっているので「引きこもり」が多いのでしょう。もちろん、本当に貧しくてホームレスにならざるを得なかった場合もあるでしょうけど、「引きこもり」は金持ちのやることです。良いな。
 私は、無収入で生活出来るほど金持ちではなく、オタクライフを満喫するためにも金が必要で、さすがに衣食住は無いと嫌で、30過ぎても面倒をみてくれている両親への感謝をこめて、長期休みだけ「引きこもり」を満喫させていただこうと思います。その後は頑張って社会復帰する。でないと生活出来ません。切実です。一度本気を出してサボったら、もう二度と就職出来ない気がします。それは避けたい。生活のために。

 私にはいわゆる「引きこもり」と自分との違いが明確には分からないし、もし決定的な違いが有職か無職かというだけなら、「引きこもり」問題は労働人口を有効活用出来ていないということとイコールなのかという点で齟齬を感じるし、労働人口が減って困ると言いながら同じ口で今後も失業率は上がるだろうという話をする報道に矛盾を感じてしょうがないし、「働かなくても生活出来るんだからそれで良いんじゃねえの?」に対する納得のいく回答を持たない。

2010.08.09 Monday 20:22| - | - |