子ども手当ては親が借りて子が返済する借金である
子ども手当てを、財政が赤字なのに支給すると、子ども手当てによって育てられた当人たちが大人になったとき、赤字分を税金として支払って埋めることになります。
必要なお金を手当てとして国から親が借りて、後で税金として子どもが納めるわけです。それで「社会全体で子どもを育てる社会」と言えるのでしょうか。教育ローンを親名義で組んで卒業後に自分で返しているみたいなものです。自分のことを自分でやっているだけでしょう。ちっとも「社会全体」ではありません。
使ったら終わりの子ども手当てより保育士育成のほうが、多くの子どもたちに対し長期にわたって役に立ちそうなのに、そうはしない。不思議です。
社会全体で、と言うのならば、子どものいないひとから税金をガッポリ徴収するべきです。もちろん、欲しいけれど相手がいないとか肉体的な問題で産めないとか産んだけど死んだとか、事情は色々あるでしょうが、個人の主義主張で子どもを持たないひとは大勢います。しかし、彼らが誰かの産んだ子どもの世話にならないわけが無いので、「産まないなら金を出せ」は正当な要求です。
子育てに対するイメージアップも必要ですが、「社会全体で子育て」ならば具体的に子育てをしていないひとには金銭的援助をさせるべきです。でないと子どもの有無で金銭的な生活の質に差が出てしまいます。可愛い子どもがいるならトイレ風呂共同4畳半一間でも満足、なんて悟りを開かない限り無理です。子育てをしているために起こる金銭的損失は補充されないと不公平でしょう。男性も育休を取ることもあり、その間得られるはずだった収入は、生涯賃金の差に繋がっていくでしょう。
子育てや家庭生活の幸福感というものはお金ではかれない価値があり、気持ちの満足が重要であるのは分かっていますが、人間は裏切るがお金は裏切らないことを考慮すると、やはりお金はあるにこしたことはありません。
現在の税制では「子どもがいると控除がある」ですが、これを「子どもがいないと追加徴収」に変えてはいかがでしょうか。子どもがいないことがペナルティのようになりますが、日本の将来に役立つ人的資源を生産しているひとのほうがビハインドになる現状のほうがおかしいと思います。
子育てに年間いくらかかるかを考えたら、私なら年間10万から30万円くらいの増税は許容範囲です。生活は厳しくなりますが、子育ての出費よりはるかに少ない。車の維持費だってもっとかかるでしょう。そうやって育てた子どもが将来私の生活を支えてくれるのだから悪い買い物ではありません。
子ども無し介護無しの会社員全員を年間10万円増税して全部保育関係に使えるなら、こんな助かる話はないと思う。「社会全体で子育て」するなら、日本が兵を出さない代わりに国連にお金を払っているのと同じ感じで、子どものいない人間から徴収すれば良い。子育ての労働力を提供していないんだから。
増税は間違いなく反発が大きくまず無理でしょうが、一生懸命小細工してほんのちょっと消費税上げるくらいなら、思い切った提案くらいしてみれば良いのに、と思います。煙草を毎日一箱300円が500円になったら、200×365=73000円。子無し課税10万円とたいして変わらないでしょ。もちろん、単純に10万円支払うだけなのと、一服する落ち着きという対価のあるものとは違いますが、煙草はほとんど税金ですし、ピンポイントでいじめのように課税するのが似ている気がするので。いや、子育てのための増税で、ほんとにちゃんと使ってくれるならいじめだとは思いませんが。
現在の政権は、あちこち問題はあるものの、以前より議論は活発になっており、そこに意義がある状態なのだから、もっと突っ込んで色々やってもらいたいものです。