正論だけどね!

 JASRACがツイッターで歌詞をつぶやくのもアウトとしたのは、まあ、正論でしょう。ここで、庶民の感覚的にやり過ぎだと思うのは、それは著作権を飯の種にしていないから。知的財産のみで生活していれば、それが脅かされてしまい、儲けられるところで儲けられないことに憤りを感じるのは当然でしょう。他に稼ぎが無いんだから。米農家が減反で怒るのと一緒。
 しかし、商標みたいに、ある程度は宣伝になると割り切ることも大切だと思います。その昔、NHKで歌うときには「真紅なポルシェ」(これも著作権を支払うべきか?)が「真っ赤な車」に変更されていましたが、あれは特定の宣伝はしないという方針を貫きすぎて馬鹿っぽい状態になった好例でしょう。宣伝に気を遣った改変が著作者の意向に沿っていれば問題無いとも言えますが、勝手な変更なら「おふくろさん」事件になるわけです。
 宣伝に関するNHKの対応は、大相撲中継では呼び出しさんの背中にも琴欧洲の化粧回しにもモザイクかけてないくせに、と思う。わけわからん。
 個人的な場面で歌詞を使うことが許されれば、ホッチキスやコカコーラ、宅急便、セロテープなどのように、他に正式名称(?)があるのにそっちを知らないくらいになるでしょう。
 知名度を上げることと、細かいところで地道に稼ぐのと、どっちが総合的に有利か―――心証を考えるとたぶん、前者です。前述しましたが庶民は著作権で生活していないから、きちんと形になっていて分かりやすいメリットがあるもの以外にお金がかかることに納得出来ないのです。
 湯水のように使う、なんて慣用句のある国で最初のミネラルウォーターは炭酸水でした。普通の水じゃないの。それと同じでしょう。
 そのうち、もっと著作権に関する国民全体の意識レベルが上がれば、JASRACももう少し寛容になるのではないかと思います。喫煙マナーも何年もかけてやっと、携帯灰皿とか一声断ってから吸うとか定着してきて、嫌煙家の愛煙家に対する態度も多少和らいできたように感じます。お互いがお互いに攻撃的だった時代は過ぎ去った。著作権に関してもそういう流れになるのではないでしょうか。
 楽曲の著作権については、現状、JASRACvs庶民だから、なんでもかんでも著作権というJASRACが少数派になってしまい、強権的な組織と庶民という対立構造になっていますが、著作者の生活を守るということを考えた場合正しいのはJASRACでしょう。ただ、どの程度だったらOKでどのくらいからアウトなのか明白な線引きが無いこと、支払いが生じるとしてその方法は? 金額は妥当か? そのあたりがはっきりしていないことが、利用者に不信感を抱かせていることを理解し、明確な方針を打ち出すべきです。本気で徴収する気があるならば。
 利用者が面倒くさがってやらないことをモラルの問題にしてはなりません。
 iTunesなど配信企業や仮想通貨を購入してそこで買い物をするサービスとと提携してデポジットを使うとか、支払いを容易にすることが必要です。そして、ツイッターで無断で使われることを嘆く前に、歌詞が含まれている場合はワードでもエクセルでもメーラーでも何でも、特にWWWに繋がるようなところでは、とにかく警告を出して支払い画面に移らないと保存も出来ないようなプログラムをOSに入れたら良いと思います。ウィルスかっつーくらいに。
 たとえ一文字でも転載はアウト、支払わないなら必ずJASRACの該当ページのリンクにしろとか、いくらでも方法はあるでしょう。その場合はJASRACの公式サイトに手軽にリンクを貼れるような体制を整えるべきです。歌詞をツイッターやブログなどブラウザを利用して入力しようとしたらJASRACの該当ページがバルーンで出てくるようなアドオンでも作りゃ良い。
 強気の発言をするわりと、態度が曖昧だからナメられるのです。
 さて、「真紅なポルシェ」に関しては、この記事全体がJASRACの批評だということで勘弁してもらいたいと思います。体裁を整えるために引用元を明記しておきますと、作詞:阿木燿子 作曲:宇崎竜童「プレイバック Part2」山口百恵の初っ端です。
 擁護するようなことを書きながら「真紅なポルシェ」に著作権を支払う気が無いのは、「あなたは」は普通の文章の一部か「神田川」か区別してみろコノヤロウという気持ちがあるからです。ブログやら掲示板やらで丸々コピペされたらそれは侵害だろうけど、web上に無料で読める古典小説や漫画がいくらでもあるのに、それを読んだ上でさらに紙媒体の本を買うひとも多い(「やってよかった(涙)」 モーニング・ツー、Web無料公開で売り上げアップ)という事実をきちんと見たらどういう方針をとるべきか判断できるはずです。
 ただより高いものは無いんだから。

2010.03.04 Thursday 22:36| comments (3) | trackbacks (0) |