「科学」と「学習」よ永遠に
先日のニュースで、学研の「科学」と「学習」が休刊すると知りまして、地味にショックを受けました。「科学」「学習」で育った私としては、母校が閉鎖されるような悲しみです。小学校卒業後、まったく関わっていなかったことが悔やまれるほどです。図書館でコカをチェックしている場合ではなかった。私はコカよりも学研の「科学」派だったのに。
読み物にほとんど興味を示さなかった妹が毎月夢中になって学年が上の私の「学習」を読んでいた東野圭吾『おれは非情勤』
、多くの科学者の伝記を読むきっかけになったあさりよしとお『まんがサイエンス』
、つまらないなあと思ってたいして真面目に読まない月もありましたが、基本的には学研のおばちゃんをまだかなまだかなーと待っていたクチです。
面白かった。理科の授業より「科学」のふろくのほうがずっと面白かった。BASICのプログラミングが載っていたり、最近の科学ニュースの解説、今月観測できる流星群や彗星、月蝕等の紹介……全然飽きなかった。
「学習」は、さあ感動しろといわんばかりの読み物には閉口しましたが、伝記や連載小説、歴史解説、最近話題の人物の紹介、どれも面白かったです。北勝海が横綱になった時と山本美憂が日本女子で優勝した時は、巻頭カラーで特集されていました。よく覚えています。
ありがとう学研。ありがとう学研のおばちゃん。ありがとう高い雑誌なのに未就学から小学校卒業まで「科学」も「学習」も買いつづけてくれた両親。学研の「科学」と「学習」無しではひとり楽しい放課後生活を送れなかったでしょう。宿題以外には弟の相手と読書くらいしかすることのない小学生でしたので。
星座早見盤は今でも手元にあります。掛け算九九を覚える歌のテープは、かなり聞いたはずなのに私は4の段の後半と6の段と7の段をあんまり覚えていません。カブトガニは世話が適当になっていつも死なせていました。そのころから生物はダメだったようです。
学研の無い生活なんて考えられなかった。増刊号も全部買ってた。ありがとう学研の「科学」と「学習」! つい先日まですっかり過去のことだったけど。
昨夜、テレビをつけたら時代劇専門チャンネルで「無頼無法の徒 さぶ」をやってました。原作は山本周五郎『さぶ』(新潮文庫)
です。原作は未読で、最初は音声だけを耳で聞いて別の本を読んでいたのですが、そっちはほっぽりだして画面に見入ってしまいました。
名作は違うんだなと思いました。たいてい本を読み始めれば周囲のことはまるで気にならないのですが、何故だか耳に入るさぶと英二のやりとりに引き込まれてしまいました。小林旭は確かにかっこいいね、とは画面を見てから思ったことで、音だけ聞きながら目は活字を追っていた30分ほどの間は、せっかくメルカトル鮎が高飛車に謎解きをしているのに、それよりさぶと英二が気になってしょうがない。
そんなわけで本は放り出して真面目に映画を観ました。
落ちは、途中で絶対怪しいだろコイツと思った人物が犯人で、原作を読んでいないので分かりませんが、映像で観ていると丸分かりでした。そういう意味ではつまらない。しかし、盗人にされた英二と、うすのろと周囲に馬鹿にされつつも英二とは友人だと思っていたさぶの中にあるお互いへの憎しみ、それが昇華されていく様子は迫るものがありました。さぶ→おのぶ→英二という一方通行の恋心を抑えて、さぶとおのぶと英二の恋人であるらしいおすえが人足寄場に送られて荒む英二をずっと支えているというのが美しいのです。
誰に嵌められたか判明したときの英二は、ただ震えているだけなのにその衝撃が良く伝わってきます。原作はどうか知りませんが、視聴者に判断を任せる部分のあるラストは面白かったです。昔ながらの「終」を観たときは、思い切り深呼吸をしてしまい、息をつめて観ていたことにそれで気づきました。
やー、『さぶ』は名作だから読みたまえと友人に薦められても池波正太郎ばかり読んでいた自分を反省してしまいましたよ。
池波正太郎といえば、「週間 池波正太郎の世界」が気になっています。残念ながらこういうのって当たりがなかなか無いので躊躇しています。
ところで、私がとんでもなく不愉快になった土曜日の結婚披露宴ですが、ものすごく感心したことがありまして、それは時間通りにしっかり終わったことです。あの司会の女性はすごい。あちこちで時間が延びる要素はたくさんあったのに、急いでいる雰囲気をあまり感じさせずに、18時終了予定を1757には新郎新婦退場にこぎつけていました。
自然な流れで時間をきっちりキープしているのは見事なものだと思い、やっぱりプロだなあ、こういうひとに司会を頼めた新郎新婦は幸運だなあと思ったのでした。
でね、キリスト教の結婚式も神さまの前でたたずんでいる感じがかなりするのに「神前」と言わないのは何故だろう。