大乱歩展
- 会期
- 2009年(平成21年)10月3日(土)〜11月15日(日)
休館日は月曜日(10/12は開館) - 開館時間
- 午前9時30分〜午後5時(入館は4時30分まで)
- 会場
- 神奈川近代文学館展示室
- 観覧料
- 一般600円 20歳未満及び学生300円
高校生以下、65歳以上は入場無料
神奈川近代文学館で開催されている「大乱歩展」に友人と行ってきました。
思ったよりも混雑していて、お客はまばらなのではないかという予想をしていたことを申し訳なく思いました。最初、11月1日(日)「D坂の殺人事件」の朗読会があるときに行こうと思っていたのに、それがわりと早めに定員になっていたのだからそれなりに盛況であることは分かっていたのですが。
JR石川町から元町商店街をだらだらと歩き、魅力的なうどん屋を見つけたものの空腹ではなかったので帰りに寄ることにして、みなとの見える丘公園を突っ切り到着したのが14時ごろ。文芸映画を観る会「死の十字路」の上映開始時刻の少し前で、お客さんはほとんどそちらに行っていたように思いましたが、展示室にもたくさんいました。
初っ端から『貼雑(はりまぜ)年譜』の本物が展示されていました。旅行や美術展のパンフやら半券やらを子どもの頃から保管している(親にはいい加減捨てろと叱られている)私が言うのもなんですが、正直病的だと思う。恐ろしく几帳面に自分に関する記録を全部まとめたスクラップ、やたら凝った製本までしているなんて。自分史が流行る理由が全然分からない私には、そこまでする意気込みが怖いです。自分が引っ越した場所の地図まで自分で作るとは、後世の研究者にとって手間が省けるのか仕事がなくなってしまうのか、とにかく自分で自分を研究しちゃっている感じがなんともついていけない。
いや、乱歩は好きなのです。好きでなければ大乱歩展など行かないのです。でもそういうのまとめたりするのは他人の仕事だよね、という気がしてならない。誰かとの書簡集を作るとかさ。
展示は、動線も分かりやすく、資料も豊富でした。主に立教大学所蔵と個人蔵のようです。だいたいの流れは年代順でまとまっており、『貼雑年譜』から抜き出して拡大したものに解説を加え、関連資料を一緒に並べておくという形でした。解説文は簡潔かつ明瞭で分かりやすいものが多かったです。書簡や手書き原稿、肉筆回覧誌、発行当時の雑誌等、一次資料が多く、そのため照明が暗かったので目の悪い友人は途中で読むのをやや諦めていました。私は必死こいて読んだので目がしょぼしょぼになり、友人からは遅れをとる一方。
乱歩が使っていた8ミリカメラもあり、映画化した作品の撮影所での風景を乱歩が撮影した動画も展示されていました。短いものですが、少年探偵団役の少年たちと映画のセットが撮られていました。背景にあったでかいカブトムシが非常に気になる映像です。
還暦祝いの赤いジャンパーを着せられている人台が思ったより小さかったので、写真で見る印象より小柄なひとなのかもしれません。おそろいの赤いベレー帽もあり、乱歩はいつもベレーだよなあといまさら思いました。
書庫にしていた池袋の自宅の土蔵の写真はとても面白かったです。土蔵で執筆している姿や内部の様子を写した写真が多数ありました。この土蔵は、蔵書を土蔵ごと保管しているもので旧江戸川乱歩邸に詳細があります。これすごい。入ってみたい。ムービーだけじゃなくて。
今回の展示は資料がとても充実しているので600円は安いなあと思いました。池波正太郎氏の師である長谷川伸氏との書簡や長谷川氏の写真は、おおこれが私が勝手に師とあがめている池波氏の師の顔と筆跡なのねとか、私の好きな棟方志功が表紙を描いているとか、乱歩は関係なく感激してみたり。『姑獲鳥の夏』の初読で眩暈坂の古本屋の箇所でD坂の古書店を思い出したことを思い出したり。想定外のところで楽しめました。
大満足な気分でみなとの見える丘からのんびりと坂を下り、おなかが空いたので来る途中で気になったうどん屋を目指しました。残念ながら「本日の麺は終了しました」となっていてガッカリでした。元町MAPに載っていなかったので、忘れないようにお店の名前を書いておこう。「饂飩上杉」http://allabout.co.jp/gourmet/udon/closeup/CU20030413uesug/←お店は改装されていて入口は写真と全然違います。
うどんは次回にしてポンパドウル本店でサンドイッチを食べて帰りました。他にもちょっと入ってみたいカフェとかあったのですが、オシャレ過ぎて私には不似合いな感じなのでやめました。今日は天気も良く、商店街はごった返してもおらず、海もまあまあ奇麗に見えて絶好のお散歩日和でした。
大乱歩展、ほんとに面白かった。資料が多くて疲れて常設展示を観てくるの忘れるくらい面白かった。今日のが予習で来週本番だぞ! 県立図書館で『貼雑年譜』借りて読んでからまた行くぞ! って気持ちになる。いや行きませんがね。『貼雑年譜』は借りたけどね。