戦闘中
夏前くらいから、駅前駐輪場にものぐさなのか熱心なのか判断できない、仮にミスターXとしましょうか、いるのです。いや、女性かもしれないですけど。
具体的に申しますと、他人の自転車を動かして自分の自転車を止めているひと、ということです。
私が利用している駅の駐輪場は、7年位前までは駐輪用のラックにナンバーが振られていて、契約は1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月のいずれかで募集時期も決まっており、そのときに抽選が行われて個人の駐輪位置が決まるシステムでした。番号が若い方が駅に近く、継続で契約していても必ず抽選でシャッフルされていたのです。しかし、その後いつでも契約できて駐輪場所は早い者勝ちで空いているところに、という自由化がなされました。それで無法地帯になっているようです。
駅に自転車を置いておいて、別の駅から電車で来たひとが駅から離れた勤務先や学校に乗っていく、というパターンもありますし、しばらく置きっぱなしという場合もありますが、自宅から駅まで自転車で来て電車に乗るという利用者が多いようです。私は朝6時には駅にいますから、早い者勝ち競争は常に勝者です。どこらへんを勝利とするかはおいといて、駐輪用ラックの、埋まっているなと思う日でも5列目ぐらいには止められます。運が良いと一番前です。空いている場所を探し回るという経験はありません。一番奥まで50メートルくらいですが、ちょっと見渡しただけで空きが見つかりますから。
それがですね、夏前くらいから、急にラックに止めない不届き者が増えたのです。私はかなり前のほうの列しか見ませんが、10列で5台くらい溢れている。不届き者め! と思いました。
しかしその断定は早過ぎると気づきました。ある晩、私の自転車がラック外に止めてあったからです。あ、誰かどけやがったな、そういうことか、と思い至ったのです。
それも一度や二度なら、急いでいたのかなという程度でしたが、ラック外に止めると駐輪場係のおじさんたちが最後列に移動しちゃって探すのたいへんなことになるんですよ。しかも叱られる。私の自転車は折りたたみ式で小さいから動かしやすいのか目をつけられたようで、三日続いたところで対策を考えました。掴みそうなところにワサビでも塗っておくかと思いましたが、それは自分も困るので、自宅で余っていたチェーンで自転車とラックを繋げるようにしてみました。
そしたらですね、それまで動かせたはずの自転車が動かせなかったものだから頭にきたのでしょう、空気入れのネジが緩められていました。腹立つより呆れました。自転車を奥に止めに行く時間が惜しいらしいのに、他人の自転車に嫌がらせする時間があるなんて、実はヒマ人だろう。
動かせそうな自転車を見繕って移動させて自分の自転車を止めるのと、素直に奥のほうに止めるのと、実験していませんがそんなに時間は変わらないと思うのです。そんなに時間がギリギリならもっと余裕を持って家を出れば良いのに。始発から何本目と片手で数えられるような電車を利用している最前列確保の常連に勝てると思うなよ。
というわけで現在、不届き者との静かな争いは早朝出勤組のターンです。ラックと自転車を繋げる方式は、これまで高そうなマウンテンバイク(フェラーリとか)以外では見かけませんでしたが、近頃駐輪場の駅に近い場所で広まり中。