非常勤ではなく非情勤

 東野圭吾氏の『おれは非情勤』が文庫化されていて、買うか買うまいか迷っています。これは懐かしの学研の「学習」にその昔連載されていたもので、ええ、はい、毎月読んでました。私は全体的には「科学」のほうが好きだったのですが、『おれは非情勤』はかなり真面目に追っていました。確か、臨時増刊とかにも載っていて、親に強請ってもれなく手に入れていた記憶があります。
 主人公は、ミステリ作家になりたいが産休の代理くらいしか仕事が無い、やたらとキザでニヒルなうえに、口も悪けりゃ愛想も無い、あちこちの小学校を流れ歩く、世を拗ねたさすらいのハードボイルド教員。そのくせ子どもの話もきちんと聞き、教育にはわりと熱心なのがアンバランスで、なんじゃそりゃと思いながらも楽しみにしていたものです。
 以上のような美しい思い出に対して、現在読んだら案外つまらなかった、という落胆への懸念が購入を思い留まらせています。加筆修正しているそうなので、それがどう出るかですね。ああ、棄てなきゃ良かった「5年の学習」と「6年の学習」!
 でね、私、『ガリレオ』が『おれは非情勤』と同じ作者だって、両方並べて売り場に置いてあるのを見て、初めて気づきました。馬鹿だ。
 小学校の5年6年では、私はもうすでにホームズとルパンを読破していて、クィーンやクリスティに手をかけていた頃です。『異邦の騎士』との出会いが中学生だったことを踏まえると、テレビで観た『犬神家』や少年探偵団を除けば、『おれは非情勤』は翻訳ものではないミステリに触れた最初だった気がしてきます。本屋で見るまで忘れてたけど。表紙の絵が懐かしくてタイトルを見て、あっと思った。そうか私、島田荘司が初めてのひとじゃ無いんだ……

 仕事帰りにてくてく歩いていたら「真将建設」と書かれた赤いコーンが工事現場にあるのが目に入りまして、「豊真将建設」かと本気で思いました。驚いた。そんな豊真将が四連敗で悲しい限りです。
 日馬富士-豪栄道の無敗対決は日馬富士に軍配。新関脇の豪栄道、勝って欲しかった(そのほうが場所として面白いから)ですが、日馬富士が落ち着いていて隙が無い。
 千代大海が二敗目です。カド番なのに序盤で二敗は痛い。後半の大関横綱戦が厳しいもの。稀勢の里の四連勝は素直に嬉しいです。ベテランはベテランでしっかり応援するんだけども、若手が頭角を現して来るのを見るのもやはり楽しいのです。

マガジン感想、いや『ゴッドハンド輝』感想。
「熱いアールグレイでも淹れてもらおうかな」! 先週から昼メロのようだと、昼メロを観ないくせに思っていましたが、わがままな奥さんの行動を止められない夫というか、横暴な夫の非を分かりながら尽くす妻というか、長船の頭は大丈夫なのかと心配になります。これはもう友情じゃないよね。
 あれだ、吉田秋生『YASHA』で、尊が似たような発言してましたよね。正しい正しくないはおいといて俺はお前についていくだけだ的な。そんなに人生投げちゃって良いのか医者が。「あなたは間違っている」と糾弾した後、胸倉つかんで言うことが「共に歩むことをとっくの昔に決意している(要約)」ってのは、長船の葛藤は分かりますが、人間としてはお前も間違ってるぞと言いたくなります。
 それにしたって「熱いアールグレイでも淹れてもらおうかな」ですよ。淹れてやったんだろうな長船は……友達のはずの幼馴染みにどこまで甘えたら気がすむのでしょうか。蓮先生の作ったような身勝手は、御手洗さんの「そして石岡君、早く家に帰って熱い紅茶でも飲もう」に近いものを感じます。

2009.05.13 Wednesday 21:19| comments (0) | trackbacks (1) |