変な話、

 タイトル忘れましたが、清水義範氏が作中で、ある言葉について解説をするという辞書形式の小説なのですけど、その中で、「変な話」について変な話ならするな。と一喝していたのが非常に印象深いです。たいへん共感を覚えました。
 ほんとなんで変な話をするんだろう。職場でも電車でお喋りしているのを聞くともなしに聞いていても「変な話だけど」と前置きするのを耳にしない日がない。なんなの、「変な話」って。
 私のここ数年の観察の結果によると、「変な話」という前置きをするのは中年男性が多い。年下の後輩が初めて「変な話さあ」と言ったのを聞いたときは思わず席を立ってしまいました。彼のほうを見るのだけは思いとどまりましたが、唐突に立ち上がったため注目を浴びてしまいましたよ。でも私が突飛な発言をしたり無言でいきなり何か始めたりするのはわりと通常なので、「いいこと思いついた」と呟いてみたら「ああ、そう」と皆さん静かに戻ってゆかれました。「こいつの言う『いいこと』がほんとに『いいこと』だったことがあったか?」という空気を残して。
 それはさておき、私はあのとき、青年がおっさんになる瞬間を見たと思っている。意見の違うひとも多いだろうけど、「変な話」という枕詞はおっさん語だと思うの。それでね、たいして変な話でも無いのに「変な話」を使うのは腑に落ちません。「たらちねの」に対する「母」のように、「変な話」ならきちんと変な話をして欲しいわけです。きちんとした変な話ってのも変なんですけど、今の話のどこが変だったの? というのばっかりなのは、ホラー映画を観て怖くないときみたいなガッカリ感です。
 わざわざ「変な話」と前置きするなら、容赦なく変な話をしていただきたいものです。「変な話」と言いながら普通の話をするな! あれ、共感したはずの清水氏の主張と食い違ってる。変なの。

2009.02.28 Saturday 21:44| comments (3) | trackbacks (0) |