K-20 怪人二十面相・伝

 また映画観たので覚書に。13日の夜に二十面相を観て来ました。経済学者に誘われまして、22日以降なら良いよーと返事をしたのですが、13日までしかやってないことが判明し、迷いましたが行ってきました。去年も確か『魍魎の匣』を観に行こうと言われて、良いよと答えて、調べたら今週いっぱい大森でレイトショー他は無しで、平日の夜に慌てて行ったような。違いとしては、一応あげようと思ったバレンタインの食べ物を、会社に忘れて「すまん」と謝ったのが去年で、「忘れなかったぜ」とくれてやったのが今年であります。大学1年目に知り合った男ですが、実はいままであげたことがなかったことに気付いてふたりで驚きました。
 14日出勤なのに横浜で23時過ぎまで映画では体力的に厳しいので、つまらなかったら容赦なく寝るつもりでしたが、わりと面白かったです。面白いよー楽しいよーと自信を持って勧められる程ではないですが、迷っているなら観れば? とは言えます。子ども向けの二十面相の小説を読んだひとには懐かしく思えるのではないでしょうか。あ、でも少年探偵団は後姿が数秒映るだけで出番が終わりなので、少年探偵団に期待してはいけません。また、乱歩の雰囲気を求めてしまうと冒険活劇っぽさが気に障るかもしれません。
 犯人というか話のカラクリというかオチはだいたい予想通り(映画の前に食事しながらお互いの予想を述べた)で、こんな感じの話なんじゃないの? というのがだいたいそのまんまでした。そういう意味では非常につまらん映画です。なんのひねりも無いのか! と群馬の友人は嘆いておりました。
 見所であるらしい、松たか子の色仕掛けシーンは確かに見所でした。ああいう自然で健康的な色気のあるひとが、胸元を寛げて足を出しているのにひとつも色っぽくない。私はあまり松たか子は好きでないのですが、役者ってすごい、と思いました。普通にやったら色気が出ちゃうもん。
 気になるのは、金城武の棒読み。動きは良いのですが、時折ものすごく棒読み。その他の皆さんが、どこまで台本どおりでどこからアドリブなんだろう、と遊んでいる感じがするのに対して、金城武だけが硬い。だから平吉が「俺は二十面相に嵌められた」と叫んでも、二十面相を含め全員で金城武を嵌めているように見えます。
 二十面相は黄金バットみたいで、平吉さんはスパイダーマンみたいです。アクションは合成なのかCGなのか分かりませんが、違和感無い程度の使い方で嘘臭い感じはしません。臨場感もあります。
 ただ、あの建物、建物としての使い道がわからない。常時は他の用途で使えるようにしておくだろうに、真ん中がひたすら吹き抜けであの高さでは、それこそほんとにバベルの塔です。つまりは筒状のやたらと高いビルなわけで、金持ちのやることは分からないねーという扱いなのでしょうか。っていうかあんなに地下を深く作れるものなの? 法的にも技術的にも非常に疑問です。もし第二次世界大戦が回避できたら、という設定の話なので法律は現在とは全然違うのかもしれないですけど。
 その他、私だったら最後に一応頭撃っておくなあとか、銃は捨てないで自分で持っておくなあとか、鹿賀丈史にもっと出番を! とかあれは怪しまれるだろとか、結局サーカスはどうなっちゃったのとか、ツッコミどころはたくさんありますが、そこらへんを無視して二十面相の暗躍を楽しむぶんには楽しいです。
 それにしても、明智さんは原作でもちゃんと結婚していて、行動も極めて常識的なひとであるにも関わらず、孫は話題になってない。結婚したという話も、どこかの誰かを孕ませたという話も、原作には一言も無いルパンと金田一の孫は祖父の名を出しながらやりたい放題なのに。奇人変人の域である金田一よりも、家庭をもつ紳士である明智のほうが人間としてよほどまともだろうに、どうも孫が後を継いだという話はとんと聞きません。不思議です。
 笑って気楽に楽しめる娯楽映画、と言い切るにはコミカルさが足りないのと、金城武と他の出演者に差があるのが難点ですが、レイトショー1200円なら高くない。叙述で嘘を吐いていない点もちゃんとミステリです。そこらへん含めて、「面白かったか?」には「楽しんだよ」と答えられる映画です。

 13日は春一番が吹いてまして、14日も朝から暖かかったので長袖シャツ一枚で出勤したら、さすがに油断しすぎだろうと呆れられました。2月だよ? わかってる? って。わかってますよ日中26度でしょ? 長袖シャツ1枚が正解ですよ。朝まだ真っ暗なのに5月の連休明けくらいの気分で電車に乗ったら、コートを着たおっさんがたくさんいてげんなりしました。いやまあ、2月に半袖でも平気な神奈川っておかしいとは思いますけどね。

 全然どうでも良くない話ですが、ドラクエ新作の発売延期に、またかよという諦めの気持ちと、にんじんは目の前にぶら下がってないと効果無いんでぶら下げるなら近くにしてくださいとお願いしたい気持ちと、火でも点けてやろうかという物騒な考えが、浮かんでは消え浮かんでは消えしています。なんで課長は私にばかり人員削減の話題を振るの? そういうことなの? と思うにつれ余計なことを考えたい気持ちになるわけです。

2009.02.14 Saturday 21:21| comments (0) | trackbacks (0) |