映画・20世紀少年<第2章>
半年くらい前に卒業した大学の友人が、連れが急に体調を崩したので代理を探している、と映画に誘ってくれました。私は<第1章>に非常にがっかりし、それとなくけなしました(2008.08.31 Sunと2008.09.10 Wed)。そのとき「テレビまで待つ」と書いたのですが、1000円だし徒歩15分だし他に誘うひともいないようだったので行ってきました。
で、あんまりにもあんまりな映画だったので、22日までは真面目に勉強するぜ息抜きは8日だけ! を放棄したついでにブログも書くことにしました。相撲を語りたくて悶々としつつも抑えた私ですが、いやもうこれ……けなした<第1章>よりも酷いってどうしたらいいの。
余談ですが、ずいぶん前に卒業した大学の友人たちは、代理で私を誘う場合それをハッキリ言わないくせに当日の15時に「18時に三ツ沢競技場」だの「19時から原宿アストロホール」だのと無茶な勧誘をするのでバレバレです。そして彼らは「最初からきみを誘うつもりだったよ」と嘘を吐くのです。お前は補欠の補欠のさらに補欠だ、と言えば良いのに。
さて、今回もダメな映画でしたよ! 前回は原作にわりと忠実なだけに冗長、という面がありましたが、今回は原作と違う上に冗長という、よりいっそうダメな感じでした。原作と違うけど良い味出しているとか、このほうが分かりやすいとかではなく、省いて繋げるにしたってほどがあるだろ、という状態でした。前回は我慢して時計を見ませんでしたが、今回はついに1回途中で時計を確認してしまいましたよ。ほんと、1000円でしかも誘われて行ったのでなければ損した気分になる映画です。「鷹の爪団」のマナー講座が新しくなっていなければ、単に友人に会いに行って142分間黙りこくっていただけになってしまう。
同行した友人は、原作を知らないので前回もそれなりに楽しみ、続きが気になったから観ようと思って、と言ってました。今回も分かりにくい部分は、謎が深まった、という認識のようです。そりゃそうだろうな。しかし、映画好きの彼女が前回も今回もパンフを買っていないというのは、やや評価が低めなのかなと私には感じられました。
キャストは相変わらず似てました。小泉響子は表情が漫画とそっくりで面白かったです。仁谷神父も。そこまで似せなくても、というくらい。この映画の、登場人物を極限まで似せようという努力は、もっと別のところに使ったほうが良いのにと思ってしまいます。実写なんだからそこらへんは原作と違っても当たり前だと思うからです。私が原作付映画で落胆するのは、話を変えられてしまっているときです。だから『ロード・オブ・ザ・リング』でギルドールの出番が無いのは良いとしてもあんなに恋愛要素強い話じゃないだろ、という点でムッとしたし、『ブレイブ・ストーリー』で1000年に一度という設定がきれいさっぱりまるっと削除だったのは、潔いとは思うけど削除した分他を掘り下げたかというとそんなことはない、という点に納得がいかないのです。
話が反れました。過去の映画はおいといて。次回の<第3章>はもうほんとにテレビ待ちで良いんじゃね? と思います。テレビ待ちっていうか、待たないですよ。そういや二作目までは観たから観ておくか、ヒマだからな!(帽子男)という感じで。
漫画原作は難しいなあ。小説原作なら、映像になるとこうなるのかーという素直な驚きや感心がありますが、漫画だと最初から絵はあるから、インパクトが小さい。それでいて漫画の絵柄やアングルは無視できないから映画的な作りがしにくくなってしまう。<第1章>も<第2章>も、映画ならではのカメラワークはめまぐるしく動くシーンくらいで、それは私は自分が酔いそうになるからあまり切り替えの早いハリウッド映画の予告編みたいな場面の繋ぎ方は好きじゃないから不愉快だったので、<第1章>でも思った「わざわざ映画でやるほどか?」という疑問を今回も持ちました。せっかくの映画ですから、映画らしい表現というのをふんだんに取りいれて欲しいものです。
内容やストーリーが荒唐無稽、という点をつつくのはナンセンスだと思うので言いませんが、省いて無理して繋げているわりと全体的には駆け足でストーリーを追っているだけの映画です。エピソードをあちこち省きつつもストーリーを追いかけるダイジェストでは、最後の出来事も盛り上がりに欠ける単なるエピソードのひとつに成り下がっていて、高揚感がまったく持てませんでした。やっとたどり着いたか、と疲労を感じました。逆に言うと、大げさな予告編状態だった前作のほうが、予告編として次への期待を盛り上げるという役目を果たしていた点で楽しめる作品だということになります。この先どうなるんだろう、と煽ることは十分していましたから。
しかし、<第2章>は、<第1章>で主役らしい雰囲気を出していたケンヂ(と書くと『アゴなしゲンとオレ物語』っぽくて嫌だ)が殆ど姿を見せず、カンナよりも小泉のほうが魅力的で、力強いオッチョが主役に見えてきます。このへん、監督の計算なのでしょうか? ストーリーが元々分かりにくい漫画であるうえに省いて繋いでいて、しかも主人公が誰かも把握しにくいのではどうしようもない。子どものころの彼らと、大人の彼らを1対1で対応させるのも難しいでしょう。登場人物が多いわりと描き分けられていない感じです。ただ、映画としてはダメでも、これだけ話題を振りまきそれなりに観客を動員しているのだから興行としては成功なのではないでしょうか。ムカつく話ですけど。
もっとも、一番ムカつくのは、映画を観た時間よりも長い時間をかけてこの記事を書いている、という事実です。観たことを無かったことに出来なかったのが非常に悔しい。