...ich lese gern!
経済学者の友人が誕生日プレゼントをくれました。Oftried Preußler作の『Das kleine Gespenst』と『Krabat』です。本って値段が丸分かりなのがプレゼントとしては致命的にも思えます。ユーロ表示だから具体的に彼がいくらで買ったのか分かりませんが。
私は『小さなオバケ』を読んだことがないので楽しみです。とりあえずタイトルだけ見て、ああオバケは中性名詞なのねと思いました。青山の「ゲーテ書房」で買ったようですが(ビジネスカードが入っていた)、本を入れる袋のリサイクル表示もドイツ語でした。材質はポリエステルだという説明に、ポリエステルは炭素と水素で出来ているとわざわざ注記があるのが面白いです。
今日の日記のタイトルはその袋に書いてあった文章(?)です。直訳すると「私は好んで読む」……なんて味気ない訳。
『krabat』は話が難しいので、内容を知っているとはいえ真剣に読んでも途中で挫折する気がします。いざとなったら手元にある邦訳と対比するってことで。『Das kleine Gespenst』は頑張ろう。
久々にドイツ語を読んでいて、私の場合、日本語→英語→ドイツ語、またはドイツ語→英語→日本語、と何故か英語を経由するのは、Karte(英card)みたいな感じで同じ意味の英単語が参考として見出しに載っている辞書を使っているせいではないかと思いました。
ドイツ語でしか知らない単語ももちろんあるのでそれは直接ドイツ語に変換されますが、両方知っている場合、日本語をドイツ語にしようとすると英語が先に出てきて、それからドイツ語が出てきます。そりゃ英語のほうが慣れてるからね、という問題かと思いきや、ドイツ語を読むときには、sprichtの原型はsprechenだからspeakだ、話すだな、というルートなので不思議です。
別に英語が得手でもないのに。なんなのこの二度手間は。
日経ビジネスオンライン(NBonline)のコラム「さらば工学部」(星良孝氏)がとても興味深い。会員登録しないとさわりしか読めませんが、さわりだけでも面白いと思います。→http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20080811/167777/
私が工学部に在籍していた当時から、国内の製造業が衰退し工場は海外への移転が続き、技術者の給料は低く押さえられたままで、就職氷河期に採用をしなかったせいで若い技術者が企業に育っていない。そのうえ子どもの理科離れが進み、理工系への進学者が減少しており、進学しても製造業へ就職しない場合が増えている。このままでは破綻するだろう、とは言われていました。授業中にいろんな先生が嘆いていました。とくに、企業出身の教授陣は危機感が強かったようでした。
就職氷河期に、文系より技術の身につく理系のほうがまだ就職できるよ、と言われた記憶がありますが、それもわりとウソでした。就職先が無いのにわざわざ学費が高くてちょっとでもサボると留年することが予想される工学部を希望するのは物好きしかいないし、就職先が無いから私の同期も情報系とか小売とかに就職しているひともたくさんいました。っていうか、もう最初から技術者や研究者は諦めて、アパレルに勤めたいけど好きだから勉強は化学をやるという極端なひともいました。つまり就職先として製造業が工学部志望の高校生にまであっさりと見放されてたわけです。そして工学部は就職するために行く場所ではないと認識されている。
で、約10年経って、どうなのよ、という話ですよ。企業も大学も工夫はしているようですが、ますます危機感が強まっただけ、という気もします。学生は減り続け、ついでにレベルも落ちているらしい。遊びほうけた挙句に単位計算を間違えて卒業し損ねた友人が、現在大学に戻って研究室に居候しているのですが、彼が「俺よりバカがいるとは」と呆れてました。2年生になっても元素周期表をほとんど覚えていなかった男が呆れるってどんなレベルなんだろう。
いまさら、日本は製造業だ! という主張はしないです。第3次産業の恩恵に私もあずかりまくっているのだし、資源が無いならソフト面で勝負するしかないのも分かります。しかし、じゃあソフトだけで良いかと言ったらそんなことはないし、それは第1次産業も同じです。1次と2次がしっかりていないと3次も伸びていけない。でかいホテルを建るにしても立派な道路を作るにしても、それなりの技術者がいなければ話になりません。技術者は必要なのです。
どうしたら工学部は、というか製造業は魅力的になれるのだろう。私は好きなんだけどなあ。そういう私も「技術者」とは名乗りきれない仕事なんだけども。
姫のご乱心は「軽率だった」という話でしたが、私は軽率ではなくて軽薄の間違いだと思います。