帰還しました
無事帰宅しました。屋久島も種子島も素晴らしかったです。南の国(?)にはとんと縁の無かった私ですが、思い切って行ってみてよかったです。毎日暑かったけど楽しかった。軍用機が飛んでないというのがこんなに静かで穏やかで良いものだとはビックリだ。いやもうこれ、ほんと岩国のひとに申し訳ないな。
でも、ああ、私、屋久島には住めない、そう思いました。だって、眼鏡屋が無いんだもの。いや、あることはあったのですが、私が宿泊した周辺には無かったのです。一番栄えている宮之浦周辺にしか無いらしい。それはつまり、直径約30キロのほぼ円形、ということは単純計算で円周約100キロの中に眼鏡屋が一箇所にしか無いという……無理です。20代なのに眼鏡歴20年を超えている私には、眼鏡が無いほうが不自然なので無駄なくらい眼鏡屋がある状態でないと。映画館が無いとか美術館が無いとかジムがないとかは我慢できても、眼鏡屋は無理です。
予備の眼鏡とコンタクトを持っていたのですが、行きの飛行機でぶつけて曲げてしまったので、ホテルに着いてすぐに「眼鏡屋さん近くにありませんか」と訊いたらとても困った様子でした。え、ここ、安房港から1キロも離れてないよ! わりと市街地じゃん! と思ったのですが、無いものは仕方がありません。二日目に種子島へ行ったときにスーパーの中で見つけたので調整してもらえまして、彼女は天使に見えました。後光が差してました。対価を支払おうと思ったのに受け取ってもらえませんでした。レンタカーの返却時間が迫っていたので、眼鏡拭きのひとつも買う余裕がありませんでしたが、この旅行で一番感激した出会いです。ありがとう眼鏡屋の若い女性!
イナカ民だと思っていた自分も、実は案外都会好きだなと実感しました。高い建物が無いとか(平屋の家屋ばかりで驚いた)、駐車場にラインがちゃんと引いてなくて戸惑ったとか(自由すぎて困った)、お店やホテルのひとがのんびりしすぎていてイライラしたとか(小走りで来いよ! とムッとした)、何というか、とにかくいろいろとアバウトすぎてついていけない部分がありました。下山の連絡のために警察に電話をしたら、はいはい無事の下山確認しました、お疲れ様でした、いやー先ほど他の方からも連絡あったんですが、すごく天気が良かったそうですね、良いときにおいでになりましたね、東京の方には暑くて大変でしょうけど、梅雨もあけて夜は星がきれいだと思いますよ、はっはっは、とおっちゃんが長々喋るので、はあ、いえ、はい、楽しかったです、ええ暑くて参りました、いや楽しかったですよ、天気が良くて助かりました、ええ、はい、お世話になりました、と電話を切るのが大変でした。ああいうフレンドリーさは嫌いではないですが、もっと機械的で良いのになーと思いました。それとレンタカーの、傷の確認がないのには驚いたぜ! 屋久島も種子島も、全然。免許の番号控えるだけ。あとで色々あると困るんできちんとしてくださいと言ったら、そんな疑うなんて都会のやつは荒んでるなーという感じの嫌な顔をされてしまった……
そうそう、レンタカーの話。軽を借りたのですが、ATなのにこまめなシフトチェンジが必要で参りました。長い下り坂ではセカンドにし、急な上り坂ではさらにエアコンを調節という、なんだそりゃな左手の操作でした。種子島の宇宙センターの付近は山道だったので、基本的にエアコンは切りっぱなしで窓を開け、下り坂になるとエアコンをちょっとだけ入れる、とかそんな感じ。
私は軽自動車は青森でしか運転したことが無くて、当然ですがあちらでは軽でも四駆なのでパワー不足というのを感じたことが無かったのです。しかし、基本的にマニュアル運転の好きな私としては、面倒過ぎない微調整が途中で面白くなってきまして、楽しかったです。
そういえば、種子島では制服を着てカブに乗っている高校生に、男子も女子も何人もすれ違いましたが、学校指定のカブなんでしょうか。カブ通学は学校で免許取得の講習があったりするんだろうか。同じ制服の子が私の乗った種子島-屋久島間の船に乗っていて、行きも帰りも一緒だったので、船通学なのかなーと真剣に思いました。トイレで一緒になったのですが、訊けなかった。さすがに。
その船が全然揺れないのも驚きました。湾内ではないので揺れるかなと思った鹿児島-屋久島も、電車よりも揺れないくらいでした。私の基準である津軽海峡とは比べものにならない海の穏やかさに、あっけにとられました。色も違うし、やたら透き通っているし、これほんとに海なの? と疑ってしまった。いやもうほんと、まるであなたの。
両親がお土産は屋久島の水で良いというので、縄文杉登山のときに、ウィルソン株付近やトロッコ道終点などの水場で適当に汲んだ水を持って帰ってきました。空港でペットボトルはチェックされまくって面倒でした。しかもお茶のペットボトルの中に水。
空港といえば、屋久島からの飛行機はプロペラで、空港と並行している道路の自動車のほうが数も多いし余程大きな音だったので、まあこれならこんな民家近くに滑走路があってもいいかなと思いました。ついつい軍用機の騒音を基準としてしまう。あと、鹿児島空港はやたらと過密ダイヤだと思いました。次から次へとひっきりなしに発着していて、羽田に負けてないと感じました。飛行機の背景になる景色が良い分、羽田よりも飛行機の発着を眺めるのには適しています。
他にも細々とエピソードはあるのですが、まとまらないのでこのへんで。とにかく人工物が少なく緑色と鮮やかな海の色、別世界でした。でもやっぱり私は都市が落ち着きます。自宅で米軍機の爆音を聞いて帰ってきたなーとほっとし、大学周辺のきたなーい横浜の海を見ながら、馴染みがあるのはこれなんだよねーと、自分の世界のいびつさに苦笑しました。