会うが
青森の、中三(なかさん)デパートが、民事再生法の適用を申請しました。とても寂しい気持ちです。中三は私が帰省した際に必ず寄る場所のひとつでした。
青森駅から新町通りをまっすぐ300メートル行って、左側にある「むらた工芸」という津軽塗のお店に寄り、箸や少しのお土産を買う。それからまた50メートルくらい先の交差点を渡って、向かいのマクドナルドで腹ごしらえ。すぐ側のローソンに入りATMでお金を下ろして、さらに隣の中三青森本店へ。地下の銘店で親戚への手みやげを買ったり、少し肌寒かったら上着を買ったり、雨が降っていたら傘を買ったり、ちょっとお買い物をして、中三の前に並んでいるタクシーに乗って親戚の家に行く。これがパターンでした。
アウガが出来ても新町通りの活気はなくなってきているなあとは思っていましたが、地震の影響とはいえ、中三がねぇ。あ、アウガというのは、市場から市立図書館まであるビルでして、名前の由来は色々あるようですが、私は津軽弁の「会うが(会おうよ)」の意味が一番好きですね。
普段、百貨店などほとんど行かないのに、青森では中三でお買い物するのが楽しみでした。子供のころ東京の祖母が、それこそサザエさんとフネさんがデパートへ行くときみたいな感じで出かけていまして、それと似た感じです。おしゃれして特別なところへ行っているような雰囲気。いや、もろに旅行者って感じの服装と荷物でしたが、いつも。
このところは年に一度も行っていませんでしたが、近所のスーパーが閉鎖しているのより、切ない気持ちになりました。
高橋秀実『おすもうさん』を読んで、高橋氏が疑問に感じたことを私はあんまり疑問に思っていないことが分かり、なんで高橋氏は相撲好きなのにそんなの気にしているの? と疑問に思いました。国技館の、西と東は実際の方角と合ってないとか。え、それ、合ってないといけないの? 玄関が正面で、反対が向正面で、そんでそれを基準に西と東よ。そんなのは右と左みたいなもので、どっちがどっちが分かるようにしているだけで、実際の方角なんて無関係で当たり前じゃないの。
送り出しているから送り出し。押し出してるから押し出し。おかしくないじゃん。正面の向こう側だから向正面だし、これより三役が出てくるから「これより三役」よ。どこが変なの? そのまんまじゃん。普通じゃん。
「ふつう、す」と相撲取りは言ってばかりだと、高橋氏は書いていました。私も知らない間にすっかり相撲の「ふつう」に染められていたようです。うわ。
うわ、とは思ったけど、足を洗おうとは思わないです。本場所観たいなあ。