終わったんだって
『魍魎の匣』の公開がもう終わってしまっていて、もう一度観たかったなあと残念に思っています。榎木津が頼子の頭を撫でるシーン、あれをもう一度観たかった。あれが一番印象深いシーンだった。
四肢を切断された頼子が、久保をかじった後、撃たれて床に転がった榎木津のそばにもぞもぞにじり寄って、瞼をちょっと痙攣させてから閉じる、それが頼子の事切れた瞬間なのですが、それを見ながらそっと榎木津が手を伸ばして彼女の頭を撫でるんです。ここが非常に良かったです。榎木津も動くのが辛い状態で、腕をやっと持ち上げて、遣り切れない表情で、それでもとても優しい手つきで頭を撫でるのです。
その後上からそのふたりの様子を映すのですがあれは要らなかったと思います。でもその前までの、ほんの数秒ですが、榎木津が悲痛な面持ちで手を伸ばす、ぼんやりした表情で上目遣いに榎木津を見る頼子がゆっくり瞳を閉じる、そのふたりの間に、靴の紐を直してあげただけの交流しかなかったとは思えないような近さが感じられたのです。
榎木津は関口や中禅寺に馬鹿だとか変人だとか言われていますが、他人の心の機微には敏感で、最初に久保と戦場でやりとりしているときも思ったんですけども、非常に人間らしい男だと思います。
だから彼は馬鹿みたいに暴れているときが、一番安心して見ていられる。
昨夜、毎週楽しみにしている『エレキング』を見ようと49番へチャンネルをまわしましたら、時間になってもやっているのは『ギャグマンガ日和』でして、それはそれで家族全員大笑いで楽しかったのですが、『エレキング』は？と、ケーブルテレビの番組表を調べたらなんと先週が最終回でした。
そんな雰囲気、どこにも無かったじゃないか！信じられん！
しかし終わったものは仕方がありません。あーあ、とため息をつきながら、またしばらく土曜の夜にテレビを見ることはなくなるんだなと思いました。それにしてもなんの前触れも感じさせないとはさすが『エレキング』だ恐れ入ったぜ。
本日は彼氏と赤羽-十条周辺をひたすら歩きました。東十条駅近くの洋菓子屋シェルボンのお菓子を会社で貰ったのを食べたら美味しかったと彼が言うので買いに行ったのです。ヤツのぶんも買ってやろうと思ったら、僕はいつでも買いに来られるから要らないと言うので、本当に家族のぶんしか買わなかったら拗ねました。馬鹿な男。
洋菓子に始めてクリームチーズを取り入れ現在のチーズケーキの基本を開発。
だそうですが、漢字変換を間違っているあたりがちょっと信頼性を下げていて残念です。北区散策をしまくりたかったので、先にお店に取り置いてもらって3時間ばかり歩きました。滝野川から飛鳥山へ、都電通りで「東京マラソン 通行止めあり」の表記を見たり、音無川の水場で遊んだりゲーテの小路を通ってみたりしました。また、あなたが好きだと思って、と十条駐屯地にも連れて行かれました。彼は何かを誤解している。
十条駐屯地近くに建設中の区立図書館はなかなかお洒落な建物でした。そこに移転してくるらしい文化センター図書館は、戦時中病院として使われていた建物で、廊下が思いっきり病院みたいでした。ほんとに普通に病院でした。しかし昔の西洋建築物らしく、入口前には立派な庭があり何かの像まであるやたらと趣のあるつくりでした。あの古いだけでみすぼらしい神奈川県立図書館とは大違いだ。
北区と言えど(超失礼)やはり23区だねえ、と妙に感心しながら東十条の駅まで戻ったのでした。本日の徒歩、概算で10キロ。
ところで、東京マラソンは制限時間が近づいてくると最後尾からはとバスが迫ってくるそうです。そして脱落者を回収するらしい。それはリタイヤを意味するので、はとバスが追いかけてくると参加ランナーは必死に逃げ始めるのだそうです。観光客に人気のはとバスから逃げ惑い、憔悴しきった悔しそうな表情でバスに連れ込まれるランナー。それを見届けると我先にいなくなる沿道の人々。あっさりと片付け始めるスタッフ。
東京マラソンの終盤は、先頭に負けないデッドヒートが対はとバスで繰り広げられているのでした。